大和総研コラム

いよいよ試される、寝ぼけたジョー・バイデン氏の「大統領力」

  • 国際
  • 掲載日 : 2020年7月27日
  • 大和総研ニューヨークリサーチセンター 研究員 (NY駐在) 矢作大祐

11月の大統領選挙まで残り約3ヵ月となった。世論調査を見ると、6月半ば以降、民主党の大統領候補であるバイデン氏の支持率は、共和党の大統領候補である現職のトランプ氏に対して、10%前後リードしている。こうした世論調査の結果に対して、「今回のバイデン氏のリードは、1992年にビル・クリントン氏がジョージ・ブッシュ (父) 氏に勝利した時と同程度の大きさだから、2020年はバイデン氏の圧勝だ」、「いやいや、2016年もヒラリー・クリントン氏が支持率では勝っていたが、結局はトランプ氏が勝ったことを考えればまだわからない」、など見方は分かれている。

世論調査の結果を考える上で、バイデン氏の支持率がトランプ氏を大きくリードできた要因を考えるべきだろう。バイデン氏について、2020年6月半ばに支持率を押し上げる要因があったかといえば、特段思いつかない。そもそも6月半ばまでバイデン氏は、メディア等への露出を増やしていなかった。何か注目を浴びる出来事があれば、Googleの検索トレンドでバイデン氏に関連した検索数が増えると考えられるが、その形跡もない。

一方のトランプ氏はというと、6月半ばにはジョージ・フロイド氏の死を契機とした人種差別抗議デモを極左勢力やテロリストによって先導されたと指摘し、新型コロナウイルスの感染が再拡大してもリオープンを優先し、感染抑制のために特段の手立てを講じないなど、人々の神経を逆なでする発言・行動が目立った。Googleの検索トレンドでトランプ氏の検索数が6月半ばに増加していることを考えれば、悪目立ちをしてしまったのかもしれない。つまり、バイデン氏の支持率の上昇は、トランプ氏の敵失によるものとも考えられるだろう。

大統領選挙が迫る中で、バイデン氏にとっても勝負所を迎えている。これまでトランプ氏への反感を背景に、支持率の底上げができていたバイデン氏ではあるが、8月の民主党大会では大統領及び副大統領候補が正式に指名され、政策綱領が採択される段階に入るからだ。7月以降は、バイデン氏のメディア露出が増えつつあり、7月9日には“Build Buck Better (より良く立て直す) ”を合言葉に、米国産品に対する投資を増やし、国内産業基盤の強化を推し進める“Buy American”政策を表明した。7月14日には、環境インフラ政策に関する行動計画を示し、環境インフラなどの開発支援策 (4年間で2兆ドルの投資) も公表している。

しかし、バイデン氏に関連した検索数は7月以降も大きく変動しておらず、注目度はさほど高まってはいない。ところで、トランプ氏やトランプ支持者は、目立たないバイデン氏を“Sleepy Joe (寝ぼけたジョー・バイデン) ”と揶揄している。今後、バイデン氏が大統領選挙を勝ち抜く上で、「トランプ氏ではないこと」だけではなく、バイデン氏だからこそできること、つまりは、米国のリーダーとしてふさわしいことを示す「大統領力」を人々に見せつけられるかがカギとなろう。

[図表] バイデン氏とトランプ氏の検索トレンド

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