大和総研コラム

宿泊・飲食サービス業からの労働移動は起きているのか

  • 消費 / 社会
  • 掲載日 : 2020年5月18日
  • 大和総研経済調査部 研究員 山口茜

新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的に、政府による外出自粛要請が継続している。スーパーマーケットやホームセンターなどの一部業態で売上が増加する一方、宿泊・飲食サービス業では大幅な売上減少を強いられている。

こうした中、宿泊・飲食サービス業では働きたくても働けない人が生じていると考えられる。一方、スーパーマーケットなどでは、レジ対応を増員する必要があるなど、人手不足が生じているだろう。この場合、宿泊・飲食サービス業でアルバイトしている人が、スーパーなどのアルバイトに職を変えれば、働きたくても働けない状況は脱することができると考えられるが、そうした動きは起きているのだろうか。

3月末までの状況であれば、総務省「労働力調査」で確認することができる (※1) 。2020年2月に「宿泊業,飲食サービス業」で働いていた人は、3月も同じ産業で働き続けた人が92%、他の産業へ転職した人が3%、失業した人が1%、職探しをあきらめるなど労働市場から退場して非労働力人口になった人が4%であった。

前年同月と比較すると、他の産業へ転職した人や失業した人の割合は同程度である。3月時点では宿泊・飲食サービス業からの労働移動が特別増えている様子は見てとれない。一方、同じ産業で働き続けている人の割合は2%pt低下し、非労働力人口になった人の割合は2%pt上昇した。非労働力人口の増加の一因としては、学校休校等で子供の面倒を見る必要がある保護者が、仕事を辞めざるを得なかったことが考えられる。

経済活動の正常化は当面見込みにくく、宿泊・飲食サービス業の売上消失が長期化する懸念は強まっている。こうした中で、4月以降は労働移動の動きが活発化の兆しを見せる可能性がある。今後公表される労働力調査の結果に注目していきたい。

  • ※1調査時点は毎月の最終週 (毎月の末日に終わる1週間) 。

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