大和総研コラム

ポストコロナの企業経営を考えるのに役立つ、SDGsの視点

  • 消費 / 社会
  • 掲載日 : 2020年5月12日
  • 大和総研金融調査部 主任研究員 太田珠美

当初5月6日までとされていた緊急事態宣言が5月31日まで延長されることが決定した。新規感染者数の減少が十分ではないという判断のようだ。一方、心配なのは企業活動 (経済) への影響だ。スーパーマーケットやドラッグストアが売り上げを伸ばしていたり、外出自粛要請を受けオンラインサービスや宅配サービスの需要は増えているようだが、全体的にはマイナスの影響を受けている企業が圧倒的に多い。特に中小・零細企業 (個人事業主を含む) への影響は甚大だろう。資金繰りに窮して倒産する企業も増えており、東京商工リサーチの調査によれば、新型コロナウイルス関連の倒産は累計100件を超えたという (※1) 。外出自粛要請により飲食業や宿泊業が大きな打撃を受けている他、製造業においても部品調達が困難になり生産調整を行う動きも見られる。建設資材や住宅設備機器の調達も困難となっており、建設工事も中断・見合わせが増えているという。

国や地方自治体などの支援で一時的な困難を乗り越えることがまずは重要だが、これからはどのように平時に戻していくのかも、考えていかなければならない。米国ではトランプ大統領が段階的な経済活動の再開に向けたガイドラインを示した。日本においても恐らく段階的に経済活動を戻すような施策が講じられることになるのだろう。5月4日の安倍首相の会見では、5月14日を目途に、専門家会議 (新型インフルエンザ等対策有識者会議基本的対処方針等諮問委員会) の議論を踏まえ、期間満了を待つことなく、緊急事態を解除する考えも示された。各地方自治体において出口戦略を作成する動きも見られる。

しかし、経済活動が戻ったとしても、今回の件で変化した様々な価値観まで元に戻るとは限らない。社員全員が毎日同じオフィスに行く必要性はないのではないか。これまで対面が原則とされていた様々なサービス (例えば教育や医療など) はオンラインでも可能なのではないか。従来、疑問に思われながらも既存の枠組みにとらわれ、対応が後回しになっていたことが、今回の危機をきっかけに大きく動いた。また、工場の停止などによって各地の大気汚染が大幅に改善されたように、我々の経済活動が環境に与えていた影響も改めて認識された。

企業は今回の危機を一時的な嵐と捉えてやり過ごそうとするのではなく、中長期的な変化を加速させるものと捉え、新しい時代に対応するきっかけにするべきだろう。事業ポートフォリオや事業オペレーションの見直しにあたっては、国連のSDGs (Sustainable Development Goals) が重視する環境・社会・経済 (ガバナンス) のバランスと、マルチステークホルダー (顧客・従業員・取引先・地域社会・株主や金融機関など) への配慮といった視点が参考になる。


このコラムと同じカテゴリの他のコラムを読む

年別

カテゴリ別