大和総研コラム

「食べきり運動」で食品ロス削減

  • 消費 / 社会
  • 掲載日 : 2019年9月26日
  • 大和総研経済調査部 主任研究員 市川拓也

全国で「食べきり運動」が広まりをみせている。食べきり運動とは、その名の通り、食品を残さず食べきる運動であり、自治体の運動に飲食店等が協力する形をとる。小盛りメニューなどの登録要件を満たした協力店がステッカー等を貼る形が一般的である。協力店側は顧客へのアピールに、顧客側は協力店か否かを確認できるので両者にメリットがある。食べきり運動の自治体間ネットワークである「全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会」への参加自治体数は402 (2019年9月19日現在) にのぼっている。

食べきり運動の一種であるが、「30・10 (さんまるいちまる) 運動」というのもある。宴会で最初の30分と最後の10分にしっかり食べようということである。宴会参加者は歓談中にしっかり食べるのは難しいが、開始30分間、終了前10分間を意識してしっかり食べれば、協力店としては食べ残しゴミが減って助かる。食品廃棄が減れば、自治体もゴミ処理費用を圧縮できる。

こうした運動の盛り上がりにより、食品リサイクルやごみの削減はもちろん、近年の食品ロス削減の観点からも効果が期待される。SDGsのターゲットとして2030年までに、小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料廃棄を半減することが盛り込まれており、社会的課題の解決という側面からも注目できる。執筆時点では施行前ではあるが、食品ロス削減推進法では10月を「食品ロス削減月間」、10月30日を「食品ロス削減の日」としており、今後はますますこうした運動が盛んになっていくものとみられる。

ただし、注意すべき点もある。食べきることだけを目的とすると、食べられる量だけ注文するという方法以外に、多くの量を無理して全部食べることでも可能である。食品を提供する店舗にとってはそのほうが売り上げが増えるが、運搬にかかるエネルギーや二酸化炭素の排出等の社会的課題の解決の観点からすれば、多くの量を無理して食べきるのは適当でない。食べ過ぎは肥満の要因にもなる。食品は無理せず、適量を感謝しつつ食べたいものである。


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