大和総研コラム

名古屋から再び大阪へ ?

  • 環境
  • 掲載日 : 2019年4月18日
  • 大和総研経済調査部 主任研究員 溝端幹雄

平成最後の2019年4月、市区町村長などを選ぶ統一地方選挙の後半戦が21日に実施される。地方創生を担う各自治体の長の責務は重い。

その責務の一つに、地方からの人口流出への対応がある。都市圏に人口が集まる傾向は全国的に見られ、特に神奈川県や埼玉県、千葉県を含む東京圏全体の人口の純流入が続いている。その一方で、大阪圏 (大阪府・兵庫県・京都府・奈良県) や名古屋圏 (愛知県・岐阜県・三重県) については、近年、中心部の大阪府と愛知県のみが人口を吸収しているのが現状である。

大阪府と愛知県をより細かく見ていくと、政令市である大阪市や名古屋市は2000年代前半から人口が純流入に転じている。一方で近年、転出超過数は減少しつつあるが、大阪府 (大阪市を除く) は転入超過には至っていない。

注目したいのは、愛知県 (名古屋市を除く) の動きだ。長らく、名古屋市を除く愛知県でも人口の流入が続いてきたが、2017年以降は人口が転出超過へ転じている。つまり、愛知県では名古屋市へ人口が集中する傾向が顕著になってきたことが分かる。

さらに注目すべきは、大阪市と名古屋市の転入超過数の違いだ。名古屋市の転入超過数はこれまでとあまり変わらないが、最近は大阪市の転入超過数が増えつつあり、足元では名古屋市のそれを上回っているのが分かる。

愛知県は自動車など製造業の好調を背景に経済活動が勢いづく一方で、大阪府は産業の構造転換が進まない等の理由で地盤沈下がささやかれていた。しかし、2010年代に入り、梅田の再開発、私鉄・地下鉄の相互乗り入れ、大阪モノレール延伸、JRおおさか東線開業などのインフラ建設が活発なだけでなく、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン (USJ) や関西国際空港を通じたインバウンドの好調に加えて、2025年の大阪万博開催決定など、久しぶりに明るい話題で持ちきりだ。こうした環境が整えば、イノベーションを担う高度人材が積極的に大阪を選ぶことになるかもしれない。そうすれば、イノベーション拠点として大阪を中心とする関西の魅力が再び高まり、ひいては西日本の牽引役となることも期待される。

東京一極集中の弊害の一つは、地域的な多様性が失われることでイノベーションにマイナスとなりかねないことである。新しい令和時代には、地方や日本全体の底上げのためにも、大阪や名古屋など国内の都市間同士の切磋琢磨が求められる。

[図表] 大阪府・愛知県への転入超過数 (1975年~2018年)

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