大和総研コラム

グリーンボンドがなくなる日は来るか

  • 国際
  • 掲載日 : 2019年2月19日
  • 大和総研金融調査部 主任研究員 太田珠美

近年、世界的にグリーンボンドの発行が増えている。国際NPOのClimate Bonds Initiativeによれば、2018年に発行されたグリーンボンドは約1,673億ドルであり、2019年は2,500億ドル発行されると推計している。

グリーンボンドは、環境面での持続可能性の向上に貢献するプロジェクトに係る資金調達に用いられる債券だ。発行が増えている背景には、2015年に国連サミットで採択されたSDGs (Sustainable Development Goals) や、COP21 (国連気候変動枠組条約第21回締約国会議) で採択されたパリ協定などにより、環境問題に対する意識が急速に高まっていることなどが挙げられる。

日本の発行体による利用も増えている。環境省のグリーンボンド発行促進プラットフォームによれば、2018年にグリーンボンド (転換社債型新株予約権付社債を含む) を発行した発行体は29法人と、2017年の8法人を大幅に上回った (2018年10月時点の環境省調査、日本企業の海外現地法人発行分は除く) 。

発行体がグリーンボンドを発行するメリットは、投資家層の拡大や、発行体のイメージ向上が期待できることなどだろう。近年、環境 (Environment) 、社会 (Social) 、ガバナンス (Governance) を投資判断に組み入れるESG投資が拡大している。環境に貢献するグリーンボンドは、ESGを意識する投資家の投資対象になり得ることから、通常の債券とは異なった投資家が購入する可能性がある。また、グリーンボンドの発行は、発行体が環境に配慮していることを外部にアピールする機会になる。

一方、グリーンボンドのデメリットは、資金使途が限られること、また発行にコストや時間がかかることなどが挙げられる。グリーンボンドの発行により調達した資金は、グリーンプロジェクト以外に用いることはできない。グリーンウォッシュ問題 (環境面での持続可能性の向上に貢献すると謳っていながら、実際にはそうした効果のないプロジェクトに投資をするような問題) を回避するため、国際資本市場協会 (ICMA) や環境省などはグリーンボンド発行に関するガイドラインを策定している。いずれも、調達資金の使途や、投資するプロジェクトの評価・選定のプロセス、調達資金の管理、投資後のプロジェクトの状況などについて、投資家に適切に開示することを求めている。また、外部評価を受けることも推奨している。通常の債券に比べ、グリーンボンドの発行はコストも時間もかかることが一般的だ。

発行体が常に環境に配慮し、それを投資家 (もしくは債券の格付機関でもよい) が適切に評価できるのであれば、本来グリーンボンドといった枠組みは不要であるはずだ。現状、グリーンボンドの発行が活発に行われているのは、発行体・投資家双方においてわかりやすい仕組みが求められているからだろう。環境問題に取り組む発行体が増え、投資家がそうした発行体の取り組みを評価できるようになれば、グリーンボンドがなくなる日が来るかもしれない。


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