大和総研コラム

民泊新法施行から半年、期待される民泊規制の見直し

  • 消費 / 社会
  • 掲載日 : 2018年12月18日
  • 大和総研経済調査部 主任研究員 市川拓也

12月15日で民泊新法 (住宅宿泊事業法) が施行されて半年が経過した。民泊ポータルサイトによると、11月30日現在、届出提出件数が12,268、うち受理済件数が11,018となっている。当初より増えているとは言え、水準としては決して高くはない。件数の少なさが新制度によるハードルの高さに起因するものならば、少なくとも短期的にはシェアリングエコノミーの健全な発展を後押しするものとなっていないようにも見える。本来ならば、いかに多くの事業者に制度の適用を促し、健全な民泊事業者を増やすかという点が重要視されるべきであったのではなかろうか。

民泊をめぐる一般的な懸念材料としては、周辺住民に騒音などの迷惑が及ぶ可能性がある点が挙げられる。同じシェアリングエコノミーでも、たとえば、家事代行のシェアで近隣に迷惑が及ぶことは考えにくい。問題が生じるのは、提供・利用の当事者同士の間であり、第三者が巻き込まれるケースは多くないであろう。民泊だからこそ、法令等によって高いハードルを設置せざるを得なかったと言えるが、ハードルが高ければ、それを乗り越えられない事業者が多くなるのは当然である。

経済3団体の一つである経済同友会は、10月15日付けで民泊新法に関して意見を公表している。民泊は家主居住型と家主不在型の2タイプに分けられるが、この中で家主居住型については、180日の年間提供日数の規制緩和や消防法の適用緩和などの規制改革を求めている。家主不在型についても、「住宅宿泊事業者が物件、宿泊者を実質的に管理できる場合には、管理業者への委託の義務付けを免除し、家主居住型と同様に規制の見直しを行うべき」との記載もある。

民泊を法人ビジネスとして捉えれば、マンションの一室を宿泊施設として貸し出す家主不在型の民泊に関心が集まるかもしれない。しかし、シェアリングエコノミーは基本的に、個人の遊休資産やスキルを有効活用することに特徴があり、この促進を図るならば、少なくとも家主居住型の民泊は、素人でも気軽に行えるよう設計すべきであった。2016年6月に終了した政府の「『民泊サービス』のあり方に関する検討会」 (※1) では、検討過程においてホームステイ型にはかなり理解があった。経済同友会の意見にあるように、家主居住型やこれに準ずるものの要件は緩められてしかるべきであろう。2020東京オリンピック・パラリンピックを機に、訪日外国人観光客の一段の増加を望むのであれば、関連する諸制度を含め、すぐにでも規制緩和を検討する必要があるのではなかろうか。

  • ※1厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長及び観光庁審議官が開催。

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