2018年も残すところあと1ヶ月あまりとなった。2018年に金融機関を含む日本企業が米ドル建てで発行した社債は、11月12日時点で約1,850億ドルであり、過去最高であった2017年の約1,860億ドルに迫る勢いを見せている (図表) (日本企業の子会社による発行を含む) 。
2012年以降に発行された米ドル建て社債の発行体を業種別に見ると、銀行業が全体の6割弱、次いで輸送用機械 (自動車) が3割を占める。3番目の情報・通信業が1割弱であるので、この3業種で全体の9割以上を占めることになる。
米ドル建て社債の発行が増加した背景としては、日本企業の海外展開が増加しており、外貨需要が増えたこと、米ドルの調達コストが上昇傾向にあることから、今のうちに調達しようとする動きが強まったことなどが考えられる。銀行業では、取引先が海外展開に積極的であることに加え、自らも海外展開を積極化している。輸送用機械 (主に自動車会社) においては以前から海外生産を増やしてきたことに加え、近年ではトヨタ自動車による米ライドシェア大手のウーバーテクノロジーズへの出資に見られるように、次世代技術の獲得のための対外投資が増えている。また、情報・通信業では複数の大手通信会社が海外事業を拡大しており、対外M&Aも積極的に行っている。
2016年頃から米ドル調達コストは上昇傾向にあり、その主な要因は米国の政策金利の引き上げに伴う、米ドル借入に要する金利が上昇していることとみられる (※1) 。本稿執筆時点で、米国の政策金利であるFF (フェデラルファンド) レートの誘導レンジは2.00-2.25%であるが、今後も引き上げが続く見通しであり、2020年には3.4%程度に上昇すると予想されている (※2) 。
米ドル調達コストが上昇し続けるのであれば、企業はそれに見合った投資リターンの獲得を目指していく必要がある。日本企業の海外展開の増加に伴い、対外直接投資は過去と比較して高水準で推移しているが、米ドル調達コストが上昇し続けた場合、この動きが続くのかどうか、注視していく必要がありそうだ。
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