大和総研コラム

「職場iDeCo・つみたてNISA」に期待

  • 経済
  • 掲載日 : 2018年10月30日
  • 大和総研政策調査部 研究員 佐川あぐり

若い世代にも、資産形成の重要性が広がってきたようだ。

金融庁によると、2018年1月にスタートした「つみたてNISA(※1)」は、6月末時点の口座開設数が68.9万口座となった。口座数は3月末から36%増となり、このペースで着実に増えていけば制度開始1年で100万口座達成の可能性もある。年代別で見ると、つみたてNISAは20~40代による口座開設が6割以上を占めている。これは、20~40代が3割程度にとどまる一般NISAとは異なる傾向であり、つみたてNISAの利用者は40代以下の相対的に若い世代が多くなっている。

2017年1月から加入対象者が拡大した「iDeCo (個人型確定拠出年金) 」は、加入者数が2018年8月時点で101万人となり、とうとう100万人を突破した。これを記念するロゴマークも作成され、今後も加入者の一層の増加が期待されている。年代別に見ると、加入対象者が拡大する前は50代が最も多く全体の4割強を占めていたが、加入対象者が拡大されて以降は50代の割合が低下し、代わって40代が4割程度まで上昇し、20、30代も上昇傾向にある。iDeCoも20~40代の利用が徐々に増えてきている。

若い世代によるつみたてNISAやiDeCoの利用拡大は、望ましい傾向だ。公的年金の給付水準の引下げが見込まれる中、老後に向けて十分な資産を形成するには、年齢が低いうちから積立を始めることが効果的である。とは言え、iDeCoは20~59歳、つみたてNISAは20歳以上であれば誰でも利用できる制度(※2)であり、日本の人口全体からすると実際の利用者数はまだまだ少ない。これからは、特に若い世代をターゲットとして利用を促す取り組みが求められよう。

その1つとして期待されるのが、職場でのiDeCo・つみたてNISAの利用を促す取り組みである。金融庁の「職場つみたてNISA(※3)」の導入に続き、厚生労働省でも「職場iDeCo・つみたてNISA(※4)」を導入した。この制度を利用する省庁の職員は、職場でiDeCo・つみたてNISAの制度概要や申込み手続きなどに関する情報のほか、投資教育の機会も得られるという。資産運用を始めるには金融・経済の知識がある程度必要であり、仕事をしながら投資を実践することは難しいと感じている人が多いかもしれない。そこで、投資経験が少ない若い世代にとっては、資産形成を行う環境が職場で整備されれば効果的と言える。つみたてNISAやiDeCoが、人々にとって身近な働く場所で広がることが期待される。

  • ※1「 (一般) NISA」は、2014年1月にスタートした個人投資家のための少額投資非課税制度で、毎年の非課税枠が決まっており、株式や投資信託等の配当・譲渡益等に対する課税がなされない。また、2018年1月には、長期・積立・分散投資に適した投資信託 (ETFを含む) に投資対象が限定された「つみたてNISA」がスタートした。
  • ※2ただし、企業型確定拠出年金の加入者がiDeCoに加入できるのは、企業型確定拠出年金の事業主掛金の上限を引き下げること等を規約で定めた場合に限る。
  • ※3金融庁ウェブサイト
  • ※4厚生労働省ウェブサイト

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