大和総研コラム

売買単位の100株統一に寄せて

  • 経済
  • 掲載日 : 2018年10月3日
  • 大和総研金融調査部 主任研究員 横山淳

2018年10月1日、上場株式の売買単位統一の移行期限を迎えた。これでわが国の上場会社の売買単位 (=1単元の株式数) は、一部の例外はあるものの、100株に統一されたこととなる(※1)。2007年11月27日に「売買単位の集約に向けた行動計画」(※2)(以下、「行動計画」) が公表されて以来、10年を超えるわが国株式市場の大きなプロジェクトも、これで一段落したと言えるだろう。それに伴い、筆者も関連する質問をいくつか頂戴している。

「売買単位の統一期限の2018年10月1日を境に株式市場の光景が一変するのか ? 」
実は、移行期限前の2018年3月末時点において、すでに東京証券取引所上場会社の94.2%が100株単位に移行済みであった(※3)。その意味では、10月1日という日付自体に、何か急激な変化をもたらすような意味があるわけではない。
売買単位の100株統一による変化は、プロジェクトが動き出した2007年当時の状況との比較において、約10年の期間で考える必要がある。

「売買単位の統一は、最低投資金額の引下げによる個人投資家層の拡大、促進が目的か ? 」
確かに、売買単位を100株に変更する中で、1売買単位を購入するために必要な金額、すなわち最低投資金額も低下した会社も多いことは事実である。しかし、売買単位の統一 (売買単位を100株にすること) と、最低投資金額の引下げは、本来、必ずしも一体不可分のものではない。
現実にも、1単元の株式数を、例えば、1,000株から100株へ変更する単元のくくり直しを行うと同時に、株式併合を実施している企業も多い。株式併合の割合が「10株を1株に併合する」というものであれば、理論上、単元のくくり直しによる最低投資金額の引下げ効果は、株式併合の効果によって相殺されることとなる。
結局、売買単位の統一の過程で、最低投資金額が低下するか否かは、株式併合を実施するか否か、その併合割合はどれくらいか、といった個々の会社の対応次第である。
その意味では、売買単位の統一の過程において、併せて最低投資金額も低下した上場会社が多かったとしても、それは結果であって、この施策の目的とまでは言えないだろう。

「売買単位の統一の目的は何だったのか ? それは、この10年で実現できたのか ? 」
わが国市場の利便性向上、リスク低減、効率化を進めることが、売買単位の統一プロジェクトの本来の目的であったと考えられる。
「行動計画」が公表された2007年当時、売買単位は8種類 (1株、10株、50株、100株、200株、500株、1,000株、2,000株) 存在していた。これが、10年の期間をかけて、1種類 (100株) にほぼ集約されたこととなる。
これによって、金融商品取引所における上場株式の売買のわかりやすさ、利便性は大きく向上したと言えるだろう。このことは、売買単位の勘違いなどに起因する誤発注リスクの低減にもつながったはずだ。加えて、金融商品取引所や市場関係者におけるシステムについての効率化、負荷の軽減にも寄与したはずだ。すなわち、約10年前には8種類もの売買単位に対応しなければならなかったシステムが、1種類 (100株) のみの対応で済むようになったのである。
このような観点に立てば、わが国市場の利便性、リスク低減、効率化を進めるという、売買単位の統一の目的は、ある程度達成できたと言ってよいだろう。その意味で、この10年間の取組みには、意義があったと評価できるだろう。


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