大和総研コラム

電動キックスケーターのシェア事業は日本でも広まるのか

  • 消費 / 社会
  • 掲載日 : 2018年9月18日
  • 大和総研経済調査部 主任研究員 市川拓也

日本でカーシェアが普及しつつあるが、最近ではアメリカでは“Electric Scooter”のシェアが流行している。この“Scooter”はサドルに跨って原動機付き二輪車を運転するいわゆる「スクーター」ではなく、車輪の付いたボードにT字型のハンドルが付いた「キックスケーター」のため、ここでは差し当たり「電動キックスケーター」と呼ぶことにしよう。

アメリカで流行している電動キックスケーターのシェアは乗り捨て自由 (ドックレス) であり、ドックレス型の自転車のシェアに類似している。直立姿勢でありながら、時速15マイル (約24km) 程度で走ることができ、自転車と遜色ない速さである。サービスとしては、BirdやLime、Spinといったところが有名である。

自転車のシェアと同様に、利用者は電動キックスケーターの購入や持ち運びが必要なく、利用分のみのコストに抑えられる点はメリットとなる。運転免許証が必要であるが、乗り捨て自由なため、キックスケーターが近くにあれば、わずかな距離でも行きたい場所まで行くことができる。自動車であれば渋滞を引き起こす可能性があるが、キックスケーターであれば渋滞の問題もなく、電動のため排ガスも出ない。自転車よりも気楽に乗れ、一種のイノベーションとも言える。

しかし普及の一方で、利用者がヘルメットを装着しない、禁止されている歩道を走行するといった問題も生じている。衝突事故も起こっており、電動キックスケーターのシェア事業を巡ってはネガティブな見方もある。サンフランシスコ市では2018年6月に一旦禁止した上で、8月30日に1年間のパイロット・プログラムとして新たにSkip及びScootを選定したところである。

果たして、このようなドックレス型の電動キックスケーターのシェア事業が日本で普及するであろうか。ドックレス型は自転車のシェアでも見られないことを考えれば、かなり難易度が高そうである。日本ではアメリカのように自転車レーンが十分に整備されておらず、警察からはバイクと同様とみなされ、車道を走ることを求められよう。電動式キックスケーターのシェア事業は、世界的にはカーシェアやライドシェアに続く、新たなモビリティのかたちとして注目されるに違いないが、規制の厳しい日本において事業としてチャレンジするのは容易ではなかろう。


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