大和総研コラム

猛暑でひそかに期待される金融商品

  • 経済
  • 掲載日 : 2018年8月7日
  • 大和総研政策調査部 主任研究員 神尾篤史

気象庁が「1つの災害と認識している」という見解を示すほど、今年の暑さは厳しい。自宅から最寄駅まで歩くだけでもびっしょりと汗をかいてしまうほどだ。暑さが厳しければ、経済活動が抑制されるかと思いきや、意外とそうでもない。ビール、清涼飲料水、エアコンなどの売れ行きが好調であることが報道されており、株式市場では「猛暑関連銘柄」として関係するビジネスに熱い視線が向けられる。

猛暑関連として報道などで取り上げられることはめったにないが、東証のインフラ市場に上場する4つのインフラファンドも猛暑が業績にポジティブに影響する。

インフラファンドはREIT (Real Estate Investment Trust (不動産投資信託) ) に類似した仕組みを持つ金融商品である。REITの投資対象は不動産だが、インフラファンドの投資対象は太陽光発電設備をはじめとする再生可能エネルギー発電設備や港湾施設などのインフラだ。投資家から集めた資金で太陽光発電設備などを取得し、第三者へ貸し出す。そこから生じる賃料が収益となり、投資家に分配金が提供される。配当可能利益の90%超を投資家に分配することなどを条件として、実質的に法人税が20年間免除される。7月31日時点で上場4銘柄の分配金利回りは単純平均で6.1%であり、東証一部の配当利回り1.7%を大きく上回る。

上場されている4銘柄の主要投資対象は太陽光発電設備であり、発電された電力は固定価格買取制度 (FIT) に基づいて電力会社が買い取る義務を有しているため、日射量が増えて発電量が増加することはインフラファンドにとってプラスとなる。インフラファンドの収入は予想発電量に基づいて最低保証賃料 (基本賃料) が設定されているが、さらに実際の売電実績に基づいて実績連動賃料が得られる。今夏のようにじりじりと太陽が照りつければ、発電量が増加して実績連動賃料が増える。インフラファンドの業績が向上すれば、投資家への分配金の増加が期待できる。

各銘柄は予想発電量と実際の発電量を毎月公表しており、4銘柄の発電量を集計すると、5月の実際の発電量は予想発電量を4.0%上回り、6月は9.9%上回っている。本稿執筆時点で7月の発電量は公表されていないが、気象庁が公表した7月の日照時間が平年を26%上回った (全国各地点の平均) ことで、好調であったとみられる。

まだまだ、インフラファンドへの投資家の認知度は高くないと思われるが、猛暑をきっかけとして投資家に知られることを期待したい。


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