大和総研コラム

今後30年で94%の市区町村が人口減少

  • 消費 / 社会
  • 掲載日 : 2018年4月24日
  • 大和総研政策調査部 経済システム調査グループリーダー シニアエコノミスト 神田 慶司

2018年4月、国立社会保障・人口問題研究所は地域別の将来推計人口を公表した。5年ぶりの改定であり、各都道府県・市区町村の人口が2045年まで将来推計されている。

ほとんどの自治体では既に人口減少局面を迎えている。2010年から15年にかけて人口が減少した市区町村の割合は8割を超えた。今回の将来推計では、少子高齢化の進展により、人口減少地域がさらに拡大する見込みである。将来推計された1 681市区町村のうち、2045年の人口が2015年を下回る自治体の割合は94%に達する。東京都区部では足立区、葛飾区、江戸川区など5団体が含まれる。人口減少は地方で特に深刻だが、長期的には大都市でも人口減少を経験することになる自治体は少なくない。

前回の地域別将来推計人口は2040年までが対象だったが、2040年における総人口の見通しは足元の出生率の上昇等を反映して上方修正された。だが、上方修正された市区町村は全体の約3分の1にとどまり、人口・経済規模の比較的大きい自治体である。残りの1 100以上の市区町村では一段と厳しい人口減少が見込まれている。日本全体では少子化の流れが緩和しても、若年層の多くは都市部に集まり、地域間格差が拡大する姿が描かれている。

人口の将来推計の確度はGDPなどの経済見通しよりも高いと考えられている。しかし十年単位の見通しとなれば、大きく外れることは少なくない。将来推計は現在の経済社会構造を所与として将来を投影したものであり、将来の自治体の取組みや地域住民・企業の行動変容などによって生まれる経済のダイナミズムが織り込まれていないからだ。

例えば、つくばエクスプレスの沿線に位置し、子育て世代を中心に転入者が増加している千葉県流山市の人口は2015年で17.4万人であり、2030年には19.6万人へ増加すると見込まれている。15年前に行われた2003年の将来推計では、2015年で15.6万人、2030年で14.7万人と見込まれていた。流山市が2000年代半ば以降に推進した良質な住環境の整備や子育て・教育環境の充実、行政サービスの効率化などが人の流れを変えたのである。

将来推計人口は「これから」の姿ではなく「これまで」の姿を映したものであり、各自治体のこれまでの取組みを人口という物差しで測った「通知表」と言える。示された将来推計人口を見て過度に悲観する必要はなく、地域住民や関係者の意識や行動次第で地域の未来は大きく変わることを忘れてはならない。

地方版総合戦略や公共施設等総合管理計画、立地適正化計画など、地域の未来を変えるための計画は既に策定されている。今回の将来推計人口の結果を冷静に受け止め、経済社会構造の転換を進めるべきだ。


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