大和総研コラム

保育士を目指す子ども達が、保育士として活躍できる日を願う

  • 消費 / 社会
  • 掲載日 : 2018年4月2日
  • 大和総研政策調査部 研究員 佐川あぐり

先日、横浜市の認可保育所で、必要な保育士を確保できないとして、来年3月末の休園が決まったというニュースを耳にした。保育士不足は待機児童の多い東京都などの都市圏で特に深刻化している問題である。その背景には、保育所の増設等による雇用の増加がある。保育士の有効求人倍率 (平成27年10月時点) は全国で1.93倍、東京都では5.39倍となっており(※1)、保育士の確保が難しい状況である。

一方で、保育士資格を有していながら保育士として働いていない人が多いことも、保育士不足の原因の一つとされている。厚生労働省が実施したアンケート結果(※2)によると、保育士としての就業を希望しない理由 (複数回答) として、「賃金が希望と合わない」「他職種への興味」「責任の重さ・事故への不安」「自身の健康・体力への不安」「休暇が少ない・休暇がとりにくい」などが挙げられている。勤務条件の不一致や職務への不安感が、保育士としての就職・復職に踏み出せない要因となっているようだ。

こうした状況を踏まえ、政府や自治体は、保育士の給与引き上げを行うなど、処遇の改善に取り組んでいる。また、全国11カ所に「保育士・保育所支援センター」を設置し、ハローワークや関係機関と連携して、保育士として就業を希望する人への支援も行っている。そこで実施された就職支援セミナーでは、再就職した保育士の体験談などを聞くことで、職務への不安感が和らいだという参加者の声もあり、効果は出ているようだ。

保育所を運営する企業の中には、週休3日制や子連れ勤務制度などを導入し、保育士の多様な働き方を推奨している例も見られる。加えて、保育所設備の清掃を外部委託し、保育士の業務負担を軽減することで、保育士が保育に専念できる環境づくりを進める企業もあるようだ。こうした取り組みにより、保育士の働く環境が改善されることが期待される。

前記のアンケート結果では、先に挙げた希望しない理由が解消された場合、保育士への就業を希望すると答えた人は6割以上であった。つまり、保育士の働く環境を改善し、職場としての魅力を高めることができれば、保育士不足の問題は解決に向けて大きく前進すると言えるだろう。

保育士の仕事は、小学生や中学生の女の子が将来なりたい職業として、長年ランキング上位に位置している。働く環境が改善し、保育士を目指す子ども達が将来保育士として活躍できる日がくることを願っている。


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