大和総研コラム

米国のインフラはいつになったら良くなるのか

  • 国際
  • 掲載日 : 2018年2月28日
  • 大和総研ニューヨークリサーチセンター 主任研究員 鳥毛拓馬

トランプ大統領は、2018年2月12日に、今後10年間で1.5兆ドルのインフラ投資を行う計画を議会に提案した。米国のインフラは老朽化が進んでおり、ニューヨーク市でもトランプ大統領がいう「崩壊しつつある米国のインフラ」を目の当たりにしてインフラ投資の必要性を痛感するとともに、公共工事により多くの市民生活に支障が出ていることを実感する。

ニューヨーク市内の道路では、大きな騒音を伴う舗装工事が至る所で行われている。市内の主要空港の一つであるラガーディア空港では、1934年に建設された施設もある老朽化したターミナルの大規模な改修工事が行われており、その完成は少なくとも2021年とされ、利用者は当分の間不便を強いられる(※1)

多くの市民が工事の影響を受けるのは、やはり市内を走る地下鉄であろう。老朽化や利用者の増加などで故障と遅延が多く、改修工事も年中行われている。このため、ダイヤ、行き先が大幅に乱れることがあり、非常に不便である。最近、通勤者のための権利擁護団体 (Riders Alliance) が、最悪な地下鉄通勤の体験についてコンテストを毎週実施すると発表した。体験談をニューヨーク州のクオモ知事や議員に伝え、地下鉄の改修とそのための資金拠出の必要性を訴えるもので、具体的な改修案などが示されるまでコンテストは継続されるとのことである。

トランプ政権の1.5兆ドルのインフラ投資計画のうち、実際に連邦政府が支出するのは2,000億ドルとされており、残りは、州、地方自治体、民間からの拠出が想定されている。連邦政府はもちろん、州や地方自治体の財政状況も苦しいことに変わりはない。地方自治体がインフラ投資に必要な財源を確保するためには、地方税を増税せざるを得ないといった指摘もある。

トランプ政権や議会がどのようにインフラ投資計画を進めるかに加えて、ニューヨーク市のインフラがどのように「良くなるのか」、その行方を見守りたい。

  • ※1ちなみに同空港は、「2017年北米空港満足度調査」 (J.D.パワー) によると、大規模空港 (Large Airport) のカテゴリーにおいて21空港中最下位であった。また、巨大規模空港 (Mega Airport) のカテゴリーでは、同じニューヨーク市にあるジョン・F・ケネディ国際空港が18空港中15位、ニューヨーク市から近いニュージャージー州のニューアーク・リバティー国際空港が最下位という結果だった。

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