大和総研コラム

国内スノーリゾートの熱視線はアジアに向く

  • 国際
  • 掲載日 : 2018年2月27日
  • 大和総研金融調査部 主任研究員 町井克至

2018年は第23回オリンピック冬季競技大会 (冬季五輪) が開催され、本稿執筆時点 (2/22) で日本は冬季五輪最多となる11個のメダルを獲得するなど盛り上がっている。冬季五輪に触発されたわけではないが、筆者は2月上旬に休暇を取得して長野県白樺湖周辺のリゾートを家族で訪れた。都内から3時間ほどでアクセスできる好立地にあり、天候にも恵まれ、平日で混み合うこともないゲレンデを堪能した。

筆者は学生時代に北海道に居住していたこともあり、ウィンタースポーツやレジャーを楽しむ趣味を持つが、国内におけるスキー・スノーボード人口の減少傾向は鮮明だ。同人口は1998年に1,800万人に達したが、その後は減少傾向で推移し、2015年には740万人と、ピークから6割近く減少した(※1)。また、この1年でスキーをした人は2016年調査で全体の3.0%と、ピークである1994年の10.9%からかなり低下してきたというアンケート調査結果もある(※2)。レクリエーションとしてスキー・スノーボードが選ばれなくなっていることが問題と言える。

このため、今、国内のスノーリゾート地域ではインバウンド需要への期待が高まっている。引き続き堅調な外国人観光客の需要を取り込むことで、国内需要の減少分をカバーしようというわけだ。観光庁「スノーリゾート地域の活性化推進会議」では、オーストラリアや欧米などこれまで日本でのスキー・スノーボードに高い関心を持つ国だけでなく、中国、韓国、フィリピン、ベトナム、インドネシアなどアジアの需要を取り込むことの重要性が議論されている。

例えば中国は、2017年のスキー人口が前年比15.9%増加の1,750万人と大きく成長しているという(※3)。同国の人口比ではスキーはまだマイナーなレクリエーションであるとみられるものの、それでも既に日本のピーク時に匹敵する市場規模となっている。2022年には北京で冬季五輪が開催されることから、今後も同国においてスキーをはじめとしたウィンタースポーツ市場は成長を続けるものとみられる。

なお、筆者が宿泊したホテルでは、館内の他のどの場所よりも、レストランで多くの外国人スタッフが業務に従事していた。ホールの接客スタッフが胸につけた国旗の言語に対応して宿泊客とコミュニケーションし、オープンキッチンの調理スタッフがその国の料理を調理・提供するといった具合である。聞けば、夏にも外国人に楽しんでもらえるよう、食事に気を使っているとのことであった。確かに、家族と一緒に来たもののスキーを楽しまない層 (高齢者や幼児など) にとって、食事は家族と一緒に楽しむ貴重な時間だろうし、グリーンシーズン、すなわち夏季の誘客をどのようにするかはスノーリゾート地域の事業者にとって重要だ。夏も来てくれる外国人のファンを増やすことが、スノーリゾート復活の鍵になるかもしれない。

  • ※1公益財団法人日本生産性本部「レジャー白書2016」
  • ※2スポーツ庁「スポーツの実施状況等に関する世論調査」、文部科学省「体力・スポーツに関する世論調査」
  • ※3Benny Wu (Wu Bin) & Wei Qinghua, “China Ski Industry White Book (2017 Annual Report) ”

このコラムと同じカテゴリの他のコラムを読む

年別

カテゴリ別