大和総研コラム

約30年ぶりの税制改革に必要な議論の時間

  • 国際
  • 掲載日 : 2017年11月29日
  • 大和総研ニューヨークリサーチセンター 主任研究員 鳥毛拓馬

日本でも米国でも税制改正に向けた議論が盛り上がっている。

米国では、2017年11月16日に下院で税制改正法案が可決された一方、上院において、下院の法案とは内容が異なる税制改正法案が審議されている。上下院で異なる法案が可決された場合 (2017年11月22日時点) 、その差異を解消するために両院協議会が開催される。仮に両院協議会で上下院の法案の差異が解消されず、法案が一本化できなければ、廃案となってしまう。一方、両院協議会で一本化に合意した場合は、法案は上下院に差し戻され、修正なく採決しなければならないとされている。上下院で可決された最終法案は、トランプ大統領の署名を経て法律となる。

今回の米国の税制改革は、レーガン政権時に行われた税制改正以来の大改革とされている。参考までに1986年の税制改正について見ると、以下のようなプロセスを経て改正法が成立した(※1)

[図表] 図

このプロセスを見る限りでは、下院法案可決から約9ヶ月、上院法案可決から約3ヶ月かけて慎重な議論が行われ、税制改正法が成立したものと考えられる。一方、現在のトランプ政権は年内に税制改正を実現させようとしている。また、当時の上院での税制改正法は超党派の支持のもとで成立した (賛成97、反対3) のに対し、現在の議会共和党は、財政調整措置を用いて、議会共和党単独での法成立を目指している。もちろん当時との単純な比較はできないが、緩やかな景気拡大が持続している状況で、財政収支を悪化させてまで (1986年改正では、歳入中立が目指された) 約30年ぶりと言われる大改革を行うのは、1986年当時と比べてより困難ではないか。実際に、現在の上院法案では、共和党内での合意にも時間がかかる見込みとなっており、トランプ政権が目指す年内の法成立は困難であろう。

法人税率の引下げなど、日本企業にも影響のある米国の税制改革から引き続き目が離せない。

  • ※1https://www.congress.gov/bill/99th-congress/house-bill/3838/actions

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