大和総研コラム

僕らはみんな、歯が大事

  • 消費 / 社会
  • 掲載日 : 2017年7月10日
  • 大和総研金融調査部 研究員 佐川あぐり

わが国は世界で最も高齢化の進んでいる国であり、65歳以上人口の割合は26.6%(※1)(2015年10月1日現在) と過去最高となっている。高齢化の進展により、日本社会には様々なひずみがもたらされているが、その1つが国民医療費の増大である。毎年1兆円前後の規模で増え続け、2014年度の国民医療費は40.8兆円(※2)であった。医療保険制度を持続させるためにも、国民医療費の伸びを抑制することが求められている。

国民医療費の約3割は生活習慣病(※3)にかかる医療費 (医科診療医療費に含まれる) であると言われている(※4)。政府は、肥満症や高血圧症などの発症、その後の重症化による医療費の伸びを抑制するために、2008年度以降、生活習慣病の発症プロセスの各段階における予防対策を本格的に推進している。その成果は徐々に出始めており、2011年度以降の生活習慣病にかかる医療費の伸びは低下しているという(※5)

生活習慣病には歯周病も含まれ、歯周病の人は心臓病や糖尿病などにもなりやすいと言われている。歯周病を予防することは、それ以外の生活習慣病の予防対策の1つともなり、国民医療費を抑制する効果が大きく期待できよう。また、歯周病を減らすことで、歯科診療医療費 (2.8兆円、2014年度) の抑制も期待できるのではないか。「8020運動(※6)」という言葉を聞いたことがある人も多いと思うが、これは「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」 (=8020) という運動である。わが国の8020達成者の割合は51.2%(※7)(平成28年) と、前回調査 (40.2%、平成23年) から改善している。

一方で、生活習慣病の予防は、健康寿命(※8)の延伸にもつながる。筆者の祖父は96歳で亡くなったが、80歳当時に自分の歯が20本以上あり、大好きな肉もよく食べていた。亡くなるまで大きな病気もなく、ほとんど病院通いもなかった。何でもよく食べ、満足した食生活を送ったことが、祖父の健康寿命の長さにつながったのだろう。

安心して老後を過ごすためには、持続性ある医療保険制度が不可欠である。医療費の抑制、健康寿命の延伸のためにも、私たち国民一人一人が、日頃の生活の中で生活習慣病を予防するための行動を続けていくことが重要だろう。


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