大和総研コラム

2018年4月に正社員が増える ?

  • 経済
  • 掲載日 : 2017年6月7日
  • 大和総研経済調査部 研究員 山口茜

2017年4月の有効求人倍率は1.48倍と約43年ぶりの高水準となった。労働需給が非常にタイトである中、近年、正社員も増加傾向にある。

非正規社員は通常、1年契約や6ヶ月契約など、労働契約に期間の定めがあることが多い。そのような、期間を定められた雇用形態で働く人の約3割は、有期労働契約の更新を繰り返し、通算5年を超えて働いている実態があるという(※1)。その中で、「契約が更新されなかったらどうしよう」といった、いわゆる「雇止め」の不安を抱きながら働いている人も多く、その不安の解消が課題となっていた。

そのような状況を踏まえ、2013年4月に施行された改正労働契約法では、「有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申し込みにより、期間の定めのない労働契約 (無期労働契約) に転換できる」と定められた。ただし、通算契約期間のカウントは、2013年4月以後に開始する有期労働契約が対象である。一部の大企業では、既に前倒しで、正社員化を含めた無期転換を行っているが、中小企業も含めると、無期契約への本格移行は、その5年後である2018年4月以降であると考えられる。

この無期転換ルールをきっかけに、企業側の対応としては、大きく分けて以下の3つが考えられる。①正社員化 (限定正社員含む) 、②無期契約社員化 (非正規社員のまま) 、③雇止め (契約期間が5年を超えないようにする) 、である。

(独) 労働政策研究・研修機構が2017年5月に発表した「改正労働契約法とその特例への対応状況等に関するアンケート調査」(※2)では、この無期転換ルールにどのように対応していくかという問いに対し、「何らかの形で無期契約にしていく」と答えた企業が約60%となり、「有期契約が更新を含めて通算5年を超えないように運用していく」と答えた企業 (約8%) を大きく上回った。一方で、「未定・分からない」と答えた企業は約30%存在し、本格適用まで1年を切っているものの、対応しきれていない企業も多く存在していることが分かった。

無期契約に転換していくと答えた企業では、①正社員化 (限定正社員含む) 、②無期契約社員化 (非正規社員のまま) のどちらを想定しているのだろうか。フルタイム契約労働者については、何らかの形で正社員区分に転換すると答えた企業は43.1%と、契約期間を無期にするのみと答えた企業 (37.3%) を上回った。一方で、パートタイム契約労働者に関しては、何らかの形で正社員区分に転換すると答えた企業は24.4%と、契約期間を無期にするのみと答えた企業 (50.6%) を大きく下回った。

まだ対応を決めていない企業も多く、不透明な部分はあるものの、この結果を踏まえると、特にフルタイム労働者に関しては、2018年4月以降に正社員に切り替える企業が一定程度見られる可能性が高い。厚生労働省も、非正規社員を正社員にした企業に補助金を出す(※3)など、限定正社員 (業務内容などが限定される、多様な正社員) を含めた正社員化を推し進めている。一方で、企業側が正社員への転換を考えていても、労働者側が望まないケースも想定される。実際に、女性を中心に自ら進んで非正規社員を選んでいる人も存在する。

実際には、無期転換ルールは正社員の増加の追い風となるのか。今後の動きに注目したい。


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