大和総研コラム

金融リテラシー向上のカギは、家族の対話 ?

  • 経済
  • 掲載日 : 2016年10月31日
  • 大和総研金融調査部 研究員 佐川あぐり

個人型DC (確定拠出年金) やNISAなど、個人が自助努力で資産形成できるツールが広がり、国民の関心も高くなってきている。とはいえ、DCでは元本確保型の商品への投資が半分以上を占めており、今後は投資信託への投資も増やしていくことが課題となる。

米国は、投信の残高が日本の10倍以上で世界最大規模を誇る。米国の投信拡大の背景にあるのが、401 (k) の普及である。401 (k) の加入者が増加し、401 (k) の口座における投信への投資が増えたことによって、90年代以降、米国の投信残高は飛躍的に拡大した。401 (k) を含むDC (IRA (Individual Retirement Account:個人退職勘定) も含む) を通して投資された投信残高は、全体の5割近くに上る。

また、オーストラリアでも確定拠出型の私的年金であるスーパーアニュエーションが普及している。スーパーアニュエーションは、もともと個人が任意で加入する制度であったが、1992年に雇用主に対して、全従業員への拠出が義務付けられたことで、制度の普及が進んだ。スーパーアニュエーションを経由した投信保有は、米国の割合以上ともいわれている。

日本では、2001年にDCが誕生したが、想定通りに普及したとはいえない。今年のDC制度の改正は、制度の普及・拡大に向けた大きな改革と位置付けられる。米国においても、オーストラリアにおいても、制度的な後押しが大きな原動力となった。日本でも、制度面の施策が打たれたことで、今後、DCを通じた投信保有比率が高まっていくことが期待される。

その際、個人が適切な投資判断を行うためには、金融リテラシーの向上が重要になる。先日、あるセミナーで、スーパーアニュエーションの普及の背景を聞く機会があった。オーストラリアの家庭では、日常の会話の中で、金融の話をするという。また、金融リテラシーは親から学ぶという意識も高く、スーパーアニュエーションの投資内容についても、家族間で相談しあうという。そういう環境の違いも、DC普及の進度に影響しているとも思われる。

日本でも、家族で金融の話をするという家庭もあるかもしれないが、あまり多くはないように思う。そのきっかけとなりそうなのは、2016年4月に誕生したジュニアNISAだろう。ジュニアNISAの専用ファンドを、子どもと一緒に選んだり、話し合ったりする機会も十分金融教育という観点から役に立つのではないか。


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