大和総研コラム

"新社会人"にこそ知ってもらいたい、企業年金制度

  • 経済
  • 掲載日 : 2016年4月11日
  • 大和総研金融調査部 研究員 佐川あぐり

わが国の年金制度は1階部分の国民年金、2階部分の厚生年金、3階部分の企業年金、という3階建ての体系とされている。1、2階部分の公的年金 (国民年金、厚生年金) は、現役で働いている人たち (現役世代) が納める保険料を、今の高齢者 (引退世代) に配分 (給付) するという、賦課方式の仕組みを基本としている。しかし、少子高齢化の進行により、わが国の公的年金はこの仕組みを維持することが難しい状況となっている。こうしたことを背景とし、企業年金は公的年金を補完するものとして、重要性が高まっている。

現在の企業年金は、「厚生年金基金(※1)」、「確定給付企業年金」、「確定拠出年金 (企業型) 」の3制度があり、企業はこれらの制度を1つずつ採用したり、あるいは併用したりして、制度設計を行っている。以下では「確定給付企業年金」と「確定拠出年金 (企業型) 」の特徴について、簡単に説明する。

「確定給付企業年金」は、加入者数、資産残高ともに規模が大きく、企業年金を代表する制度となっている。年金給付額の算定方法が決まっており、企業 (あるいは基金) はこの給付額から計算した掛金を拠出し、運用も行う。運用結果によって給付額が減額しない仕組みであるため、加入者にとっては安定的といえよう。一方で、企業が運用損による給付額の不足を埋める必要がある。企業側に与える経営負担が大きいことを問題視する企業も多く、近年は一部を確定拠出年金へ移行する動きも出てきている。

「確定拠出年金 (企業型) 」は、日本版401kともよばれ、アメリカの401 (k) プランを参考に作られた制度である。企業が掛金を拠出(※2)するが、投資信託や預貯金、保険などの運用商品の選択や掛金額の配分などの運用指示は加入者自身が行う。拠出額と運用収益の合計が年金給付額となる仕組みで、運用成績によっては給付額が変動する。運用経験の浅い加入者なども多いため、企業は加入者に対し投資教育を行うことを求められている。自助努力型の制度であり、こうした投資経験を積むことができることは、今後の自らの資産形成においてプラスになるであろう。

企業年金は企業が選択して採用するものなので、従業員が決められた制度に加入し、自ら選択できるものではない。しかし、新年度がスタートし、“新社会人”として企業に勤める人たちも多いだろう。これまでは年金制度に対して無関心であったかもしれないが、自分の老後の資産形成を左右するものであり、積極的に関心を持ってもらいたいと思う。

  • ※1 「厚生年金基金」については、2014 (平成26) 年4月に施行された改正法により、施行日以後は新設は認められないこととなった。
  • ※2 マッチング拠出について、規約に定めた場合は加入者も拠出可能。

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