大和総研コラム

経済成長に強気の中国の経済専門家

  • 経済
  • 掲載日 : 2015年11月20日
  • 大和総研調査本部 専務取締役 岡野進

10月23~25日に北京で開催された「第11回東京北京フォーラム」に参加した。同フォーラムは、経済だけでなく政治、安全保障、メディア・文化などの分野で日中の対話を行う催しである。筆者は経済対話の分科会にパネリストとして参加させていただいた。経済対話の分科会で印象深かったのは中国側の経済専門家たちが一様に今後の中国経済の成長に自信を持っていたことである。

中国人民銀行の易綱副行長は、中国経済が新常態に移行するが、1.消費がエンジンとして寄与度を高める、2.製造業からサービス業へのシフトが進む、3.省エネ、環境保護に関連する産業も成長する、という今後の経済成長の姿を描き、中高速の経済成長を保証できるとの確信を語った。もっとも、そのためには現在45%の都市人口比率を上げ都市化を進めること、改革開放と規制緩和によって労働生産性を高めること、社会保障の重視や起業を盛んにしていくことなどという課題も指摘していた。金融については、今回、預金金利の変動上限を撤廃したことにより金利市場が発展し金利の基幹構造も市場で決定される信頼できるものになっていき、中央銀行の政策も市場メカニズムによって波及していき、透明化が進むとの見通しを述べた。

日本側からは、今年の株価の乱高下、為替レートの引き下げや地方政府の債務問題など質問・指摘があった。これに対して、易副行長は、為替レートの引き下げは安定化策であり、調整はまだ足りていない、金融市場におけるレバレッジを重視しており現在は債券市場に注目している、地方債務の借り換えを債券発行に換えることで透明化を進めている、といった対応策が取られているとの説明があった。

張燕生国家発展改革委員会学術委員会秘書長からは、中国経済には、1.イノベーション (技術のイノベーション) 、2.国際化 (一帯一路、経済協力のプラットフォーム) 、3.改革 (法治国家機構) の三つの課題があるが、6.5~7%の経済成長を維持するとの見通しが語られた。新常態への移行については、例えば広東省では経済成長率は低くなったが構造調整はうまくいっている、との認識が示された。

張建平国家発展改革委員会対外研究所国際経済協力室主任は、地方の開発について優先的に開発する地域を決め財政移転の仕組みをつくること、地方幹部の評価インデックスにおいて所得増、生態系保護、省エネといった要素のウェイトを上げるといった政策が取られるとの見通しを示した。

総じて中国の経済専門家は、これまでの高成長に歪みがあり過剰ストックの問題や地方の債務問題など課題があることは十分認識したうえで、適切な政策が取られれば中高速の成長が可能だという楽観的な見通しを持っていた。具体的にどのように過剰ストックを解消していくのか、増大した地方政府債務は透明化が進めば大きな問題ではないのか、株式市場の問題についてはどのような改革を進めるのか、必ずしも明確な答えはなかった。そうした疑問は残るものの、中国が経済成長の曲がり角にあるだけに改革を進めていかなければならないと考えている経済専門家の意気込みは十分に感じ取ることができた。


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