2016年から8月11日が「山の日」 (山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する) として祝日になる(※1)。これで日本の祝日数は1日増え、年間16日となる。この祝日と土日を含む「カレンダー休日数」と「年次有給休暇付与数」の合計は、労働者が取得する権利のある年間休暇日数に相当し、10年ぶりにこの休暇日数が増えることになる。一方、労働者が年間を通じて実際に取得した休暇日数の実績値は、「労働者取得休日数」 (就業規則等で労働義務がないと定められ、実際に労働しなかった日の総数) と「年次有給休暇取得数」の合計で表される (図表参照) 。
カレンダー休日数は、1989年 (天皇誕生日) 、1996年 (海の日) に祝日が追加されたほか、いわゆるハッピーマンデー制度(※2)などによって1990年代後半にかけて緩やかに増加し、その後は横ばい傾向である(※3)。また、年次有給休暇の付与日数は、1990年代前半までに大きく増加した後も緩やかに増加傾向である。労働基準法では、年次有給休暇の最低付与日数は20日 (勤務6年6ヶ月以上の場合) とされている。
一方、年間休暇日数の実績値を見ると、1980年代より週休2日制が拡大 (例えば銀行は1989年、国家公務員は1992年に導入) したほか、1980年代後半から1990年代前半にかけて年次有給休暇の取得日数が増加したことから、1993–96年には約120日となっており、それ以降はカレンダー休日数とほぼ同数で推移している。
この図表を見て気になる点が二つある。一つは、休暇日数の実績値はカレンダー休日数を上限に伸び悩んでいるように見えることだ。カレンダー休日数以上に休むことに負い目があるのだろうか、祝日の設定が無ければ休みづらいという問題が垣間見える。これは、企業側、労働者側双方の問題と言える。企業側は、カレンダー休日数以上に従業員が休んでも経済活動を継続できるように、従業員数の適切な配分や業務の分担を行い、労働者取得休日数をカレンダー休日数程度に増やす努力が求められる。現状では年次有給休暇を消化しなければ、カレンダー休日数を確保できない。労働者側にも、休暇を取ってもすることが無いなどと言わず、休暇を積極的に計画して楽しんでもらいたい(※4)。
もう一つは、1990年代後半以降では、それ以前と比較して年次有給休暇の取得率が下がっていることだ。これは、年次有給休暇の付与日数は緩やかに増加しているものの、取得日数がそれほど増えていないことに起因する。年次有給休暇の取得日数は1995年の9.5日をピークに低迷しており、2014年は9日である。年次有給休暇の取得率は、1985~99年では常に50%以上であったが、2001年以降に50%を超えた年は無い。
いずれにせよ、年間休暇日数の実績値を増やすことが課題である。次に「空の日」が誕生するのではないかという個人的な願望もあるが、祝日を増やすだけでなく、国と企業には、労働者取得休日数や年次有給休暇取得率を向上させる更なる取り組みにも期待したい。
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