大和総研コラム

新春に想う

  • 経済
  • 掲載日 : 2015年1月1日
  • 大和総研理事長 武藤敏郎

2014年は、日本経済が長い間陥っていたデフレからの脱却を見通すことができる状況になったという意味で、特筆すべき年であった。しかし同時に、4月の消費税引き上げによる経済へのネガティブな影響が予想以上に長引き、2015年10月からの10%への消費税引き上げが1年半先延ばしされるなど予想外のことが起こった年でもあった。

2015年はどのような年になるであろうか。まず、経済全体については、金融緩和と財政出動に支えられ、また米国向けを中心に輸出が徐々に持ち直すことなどにより緩やかに景気は回復軌道をたどると予想される。我々は、実質経済成長率は2014暦年の0.2%から、2015暦年には1.3%に回復すると見込んでいる。

一方、今年も幾つかの課題がある。第一に、円安が、内需型の非製造業、中小企業などにあたえる悪影響への対処である。第二に、財政規律の維持が挙げられる。政府は、2015年度に財政のプライマリーバランス赤字のGDP比を2010年度対比半減すること、更に2020年度にはこれを黒字化させることを標榜している。仮にこの目標が達成されないリスクが高まると、国債格付けの引き下げなどにより長期金利が上昇する可能性が否定できない。第三に、日本経済の本格的な回復を実現するためには、成長戦略、言い換えれば、医療・介護、労働市場、農業などの規制緩和が不可欠である。第四に、アベノミクスは一定の効果を挙げているが、それは市場の反応、言い換えると円安・株高によってもたらされている面が大きく、必ずしも実体経済に十分波及していないのではないかと指摘されている。仮に実体経済がなかなか回復せず、消費者物価上昇率も2%の目標を下回る事態が続く場合には、更なる財政出動と量的金融緩和が必要となるかも知れない。しかしこれ以上の財政赤字の増大や量的緩和による日銀のバランスシートの拡大がもたらす副作用を考えると、今後の政策展開に限界が出てくる可能性もある。

2015年は、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の準備が本格化する年になるだろう。オリンピック・パラリンピックは、スポーツの祭典だが、スポーツを超えて文化、芸術、教育などに好影響を及ばすだろう。開催都市東京を超えて沖縄から北海道まで全ての地域の振興に結びつくことになる。また、2020年を超えて、日本の経済社会にいかなるレガシーを残すかが重大な関心事になるだろう。2020年のオリンピック・パラリンピックは成熟国家・日本が新しい発展の転機をつかむものでありたい。


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