大和総研コラム

環境ビジネスの業況と市場規模

  • 経済
  • 掲載日 : 2014年11月20日
  • 大和総研環境調査部 主任研究員 伊藤正晴

2012年6月に開催された「国連持続可能な開発会議 (リオ+20) 」で、持続的成長には経済成長と環境保護を両立させる「グリーン経済」が重要な手段として位置付けられた。「グリーン経済」は2011年11月の国連環境計画 (UNEP) “Towards a Green Economy”で、環境問題に伴うリスクと生態系の損失を軽減しながら、人の厚生や社会的公正を改善するための経済のありかたとされており、環境ビジネスが大きな役割を果たすことが期待されている。また、日本においても2014年6月に公表された「『日本再興戦略』改訂2014 —未来への挑戦—」の「二.戦略市場創造プラン」の中で「テーマ2:クリーン・経済的なエネルギー需給の実現」について浮体式洋上風力、蓄電池、次世代自動車などがKPIとして示されるなど、日本の経済成長に環境ビジネスの発展が欠かせないことがわかる。そこで、環境ビジネスの業況と市場規模について紹介する。

環境省「平成26年6月環境経済観測調査 (環境短観) 」によると、環境ビジネスを実施している企業から見た自社の環境ビジネスの現在の業況DI(※1)は22で、前回調査 (平成25年12月) の17から上昇しており、環境ビジネスが以前よりも好調であると判断している企業が増えている。同時期での日本銀行「全国企業短期経済観測調査 (日銀短観) 」における全規模合計・全産業の業況判断DIは7であり、ビジネス全体に比べて環境ビジネスが好調であるとの認識がうかがえる。また、環境ビジネスの業況が「良い」とする要因についての選択肢では、「取引先 (顧客) からの受注が見込まれるため」や「産業界全体の景気が良いため」とともに、「補助金・助成金などの支援策がある又は見込まれるため」を選択した企業が他の選択肢よりも多く、環境ビジネスにおける補助金や助成金への期待がうかがえる。

さらに、環境ビジネスの10年先の業況DIは27で、将来についても好調を維持すると考えられていることがわかる。また、図表に示しているように環境ビジネスは4つの分野に区分されているが、その中では「自然環境保全」の10年先の業況DIが大きく伸びていることが目立ち、水資源利用、林業、エコツーリズム、災害対策などの「自然環境保全」分野への期待が大きいようである。

次に、環境産業市場規模検討会「環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書 (平成26年5月) 」によると、環境ビジネスの市場規模は2012年で86.0兆円と推計され、2000年の57.7兆円から約1.5倍の規模に拡大している。また、雇用規模については、2000年以降、ほぼ増加傾向が続き、2000年の約175万人から2012年には約1.4倍の約243万人に達しているとしている。さらに、SNA産業連関表における産出額 (名目値) に対する環境ビジネスの市場規模の比率が示されており、この比率は2000年の6.2%から大きく上昇し、2012年には9.6%に相当するとしている。

このように、環境ビジネスは日本経済の成長要因として重要な位置を占めており、今後、環境ビジネスの好調が続き、それが日本経済の成長に寄与することが期待される。一方、再生可能エネルギーとして導入が進んでいる太陽光発電について、電力会社の受け入れ回答保留が相次ぐなど、環境ビジネスに関するリスクにも注意が必要になっている。

[図表] 環境ビジネスの業況DI (%ポイント) と市場規模
  • ※1「現在」、「半年先」、「10年先」の3つの時点を対象として、業況が「良い」、「さほど良くない」、「悪い」の3つの選択肢を提示し、業況DIは「良い」と回答した企業の比率と「悪い」と回答した企業の比率の差で算出されている。

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