大和総研コラム

平成27年度税制改正の行方

受取配当の益金不算入縮減、国際課税、消費税
  • 政治
  • 掲載日 : 2014年11月13日
  • 大和総研金融調査部 制度調査担当部長 吉井一洋

平成27年度税制改正の議論が本格化している。

法人税減税の議論とともに、その代替財源の一つとして受取配当の益金不算入の縮減が議論されている。縮減方法としては、政府税調の報告書や経済団体の税制改正への提言、新聞報道等によれば、次の2つの見直しが遡上に挙がっている模様である。

  • ①受取配当が全額益金不算入となる持株比率を25%から引き上げる。
  • ②持株比率が低い場合は、益金不算入割合を引き下げる。 (フランスでは5%未満は0%)

受取配当の益金不算入は、支払法人の段階でいったん課税された利益から行われる配当について、受取法人の段階で再度課税することを防ぐために設けられたものであり、政策減税ではなく、本来、法人実効税率の引下げに併せて縮減される性格のものではない。

わが国の場合、金融機関の持株比率はおそらく独占禁止法や銀行法等の制限などから5%未満が大半と思われ、事業会社でも保有上場株式の6割弱が持株比率5%未満である。例えば、フランスのように持株比率5%未満の配当を全額益金算入とした場合 (②) 、大和総研の試算では、4%前後から5%前後の株価下落要因となる。時価総額に乗じると20~25兆円程度の減額要因であり、NISAの目標投資金額25兆円、GPIFの今後の国内株式の投資増額 (推計10~20兆円程度) と比較しても決して小さくない。縮減には慎重な対応を望みたいところである。

以前まとめた国際課税関連(※1)では、BEPS (Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食と利益移転) に関連して下記の措置が検討される。

  • 支払国では利子として損金算入されている海外子会社からの配当(※2)については、わが国の親会社には、外国子会社配当益金不算入を適用せず、課税する。
  • わが国の居住者が海外に移住する際に、保有株式の含み益に課税する。

さらに、これまで消費税が課税されていなかった、海外ネット業者からのコンテンツ等の購入については、日本の購入者が事業者の場合、コンテンツの提供者に代わって消費税を支払い、仕入税額控除を行う制度の導入が予定されている。非課税取引が多い証券会社や金融機関は仕入税額控除が十分にできない可能性があるが、何らかの配慮が期待される。

平成27年度税制改正よりも後になるかもしれないが、米国のFATCA (Foreign Account Tax Compliance Act) に類似する自動的情報交換制度 (Automatic Exchange of Information) が2016年又は2017年から導入される模様である。

消費税率については、10%への引上げが行われるか否かに加え、予定通り引き上げる際には軽減税率の導入が検討されるものと思われる。与党 (自由民主党と公明党) の税制協議会の2014年6月の報告(※3)では、飲食料品を対象に8パターンの軽減品目が例示されている他、区分経理のための4つの仕組みが例示されているが、経済界 (経団連、経済同友会、商工会議所) は、こぞって反対しており、議論の行方が注目される。


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