大和総研コラム

2020年に国富調査を

  • 政治
  • 掲載日 : 2014年9月11日
  • 大和総研調査本部 専務取締役 岡野進

「国富調査」という言葉をお聞きになったことがあるだろうか?一国の国富がどうなっているのかを調べる調査である。様々な経済統計の中でも頻繁には実施されない調査で、日本の場合、最も新しい調査は1970年に行われた調査だ。かなりの手間と費用がかかる調査であり、それ以来、44年間、調査は行われていない。

もっとも、国富の額は、毎年、国民経済計算 (確報) の貸借対照表に計上されている。国民経済計算では、固定資産の推計はフローの統計から投資の累積と減耗を考慮して推計するという方法を採っている。実際には固定資本マトリックスという各部門における各財への投資額を推計したマトリックスを年ごとに作成して、それを用いてストックを推計する方法が採られている。毎年の固定資本マトリックスはそのための調査がなされるわけではなく、実際には5年ごとに調査が行われる産業連関表統計のデータを利用して、5年の間はなだらかに変化するという仮定で推計されている。

フローの累積でストックを推計していくと、長期間経つとどうしても実際の金額と相違が生まれてくると考えざるを得ない。合計額が大幅に相違しているということはないだろうが、国富の数字の信頼性、またその中身がどうなっているのか、という点については心もとない。

国民経済計算によると、2012年末の国富は3,000兆2,980億円あり、固定資産は1,487兆9,538億円計上されている。国富のかなりの部分を土地と並んで固定資産が占めているが、これは資産そのものの調査のうえで把握されているわけではない。

少子高齢化、人口減少の中で、これまでの蓄積をいかに上手に活用していくべきかという課題があるわけであるから、固定資産の中身の把握は欠かせないだろう。最後の国富調査が行われた1970年当時と比べると、固定資産の構成も新しい要素の出現を含め大きく変わっているだろう。50年という区切りで2020年に国富調査を実施してはいかがだろうか。ちょうど東京2020オリンピック・パラリンピックの年であり、そのレガシーを活用していくという時期にもあたる。どのような方法が合理的か、今から議論を始めても遅くないように思われる。


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