大和総研コラム

アクティビストファンドの再興と変容

  • 経済
  • 掲載日 : 2014年6月11日
  • 大和総研環境調査部 主任研究員 鈴木裕

世界金融危機によって縮小を余儀なくされたヘッジファンドであるが、近年復活の様相を見せており、資金総額は2兆6,300億ドルに達し過去最高を更新したとも言われている(※1)。ヘッジファンドは、その投資戦略によってさまざまに分類することができるが、特に規模を大きくしているのは、アクティビストの手法を用いるファンドだ。2009年には360億ドルだったアクティビストファンドは、2013年第3四半期末に890億ドルに達したという(※2)。このアクティビストファンドは、規模を大きくしているだけでなく、投資手法にも変化が見られる。

少数の企業に集中的に投資をして株主としての影響力を高めたのちに、投資先企業と対話を重ね、株価を引き上げるような経営判断を引き出すのが、アクティビストファンドの投資戦略だ。投資先企業との対話を実りあるものにするには、多くの株式を持たなければならないため、時価総額の大きな企業は標的になりにくい。時価総額が大きな企業だと影響力を発揮するために十分な株式を保有するには、投資額が莫大になるからだ。世界金融危機前には、アクティビストファンドが好んで標的にする企業は、おおむね時価総額10億ドル程度の中堅規模のところが多かった。しかし、最近は時価総額の大きなところも頻繁に標的にされるようになっている。2010年には17件にすぎなかった時価総額100億ドル超の企業を標的としたアクティビストファンドの投資は、2013年に42件を数えた(※3)。誰もが知るような大企業であっても、アクティビストファンドの標的になり得るということである。

アクティビストファンドの投資戦略の面では、空売り (ショートポジション) から始まるアクティビストキャンペーンというものも見られるようになっている。これは、ある企業の株式についてショートポジションを作ったのちに、その企業のネガティブ情報を公表して株価を下げることで利益を得ようとする行動である。株価を上げるために影響力を行使する従来のアクティビストの行動とは、正反対の方法が用いられることもあるということだ。もっとも、他のアクティビストファンドが株式を保有している (ロングポジション) 場合には、バトルになることもあり(※4)、この手法が根付くかは、まだわからないが、新たな手法となる可能性があると言えるだろう。

アクティビストファンドの行動変化は我が国の市場でも観察できる。2007年ごろには標的にはなりにくかった時価総額の大きな企業も、アクティビストファンドから様々な働きかけを受けるようになっている。資金規模を拡大しているアクティビストファンドは、投資機会を求めて日本の企業にも目を向けているのである。


このコラムと同じカテゴリの他のコラムを読む

年別

カテゴリ別