大和総研コラム

技術輸出への期待

  • 経済
  • 掲載日 : 2014年4月17日
  • 大和総研調査本部 専務取締役 岡野進

先月のコラムで、経常収支問題について所得収支のうち株式投資にかかわる収益のカウントのしかたの問題について言及した。 (「経常収支ゼロの実態に陥った日本」2014年3月20日)

しかし、日本の国際収支動向には悲観すべきことばかりではないポジティブな事象もある。そのひとつが技術貿易の動向だ。総務省統計局「科学技術研究調査」によると、我が国企業の技術貿易収支は、2012年度で技術輸出による受取額は2兆7,210億円、技術輸入による支払額は4,486億円で、技術貿易収支額 (輸出-輸入) は2兆2,724億円と過去最高の黒字となった。技術貿易というのは、特許の使用料など技術の使用を外国企業にさせて使用料を受け取る (輸出) 、外国の技術を利用して使用料を支払う (輸入) というサービス貿易。これが黒字であるということは、国内で培われた技術の外国での通用度が、輸入技術以上のものとなっていることを示しており、技術立国というからには大切な指標性を持っている。近年、輸出額は順調に拡大していると言える。同調査によれば、技術貿易収支額は、米国の358億ドル (2011年度) に次いでG8中第2位 (比較可能な最新時点) となっている。G8中では日本、米国の規模の黒字を得ている国は英国220億ドル (2011年度) のみなので、世界第2位になっていると言って間違いないであろう。その世界第1位の米国との収支 (2012年度) をみると、日本から米国への輸出が1兆287億円、日本の米国からの輸入が3,307億円と、6,980億円の黒字となっている。

日本の技術貿易は1993年度に黒字化したが、その大きな要因は日本企業の海外進出に伴う子会社への技術供与のライセンス料の増加だった。これは形を変えた直接投資収益と見做せないこともないし、また必ずしも市場での選択によって購入されたサービスでもないので、日本の技術力の成果として評価するのはやや早計との判断があった。しかし、黒字の拡大は、その後も続き、現在は、親子会社間を除く取引でも黒字となっている。このことは、日本の技術の実力が、国際標準的にもかなりの競争力を持った存在になっていることを示している。そうした力をさらに伸ばしていけるような成長戦略の策定を期待したい。


このコラムと同じカテゴリの他のコラムを読む

年別

カテゴリ別