大和総研コラム

駆け込み需要で感じたこと

  • 消費 / 社会
  • 掲載日 : 2014年4月2日
  • 大和総研経済分析室 エコノミスト 橋本政彦

4月に入り新年度がスタートした。節目のタイミングということもあり、毎年4月には、様々な制度変更が行われることが多いが、2014年4月の最大の制度変更は、言うまでもなく消費税率が従来の5%から8%へと引き上げられたことであろう。当面の日本経済の先行きを見通す上で、増税による影響が最大のポイントであることは間違いない。

消費税増税が経済に与える影響という意味では、増税前の駆け込み需要と、その反動減の大きさが最大の注目点である。筆者も例にたがわず、増税直前の週末には妻と娘を連れて近所のショッピングモールへ赴き、若干の駆け込み消費をしたのだが、その際にいくつか感じたことがあった。

最も強く感じたのは、駆け込み消費が家計にとっての節約になる否かは確かではないということである。筆者も職業柄、日々購入する物やサービスの価格には敏感であるという自負があるのだが、筆者以上に優秀な「価格ウォッチャー」である妻いわく、「セールの時ほどには安くない」という商品も少なくなかったようである。だからといって購入を見送るわけではなく、「増税後はもっと高くなるかもしれないから」と、結局購入するケースが多かった。

消費税は商品価格の決定における一要素でしかない。価格変動が大きいことで知られる生鮮食品は天候などによって日々価格は大きく変動するし、生鮮食品以外の食料品や家庭用品などでも、様々な事情を背景に日次で価格が改定されることが一般的である。そうした日々の価格改定幅に比べると、増税による3%の値上げは必ずしも大きくはなく、品目によっては増税後、むしろ価格が安くなるということも十分考えられる。また、増税前の駆け込み需要が大きいとされる耐久財などでは、購入頻度が数年に一度というものも少なくない上、前回購入時と全く同じものを購入するということはほとんどの商品でできない。熱心に価格調査をしていない限りは、増税直前に普段より高い値段で販売されていたとしても、多くの人は気が付かない (気にならない) であろう。加えて、反動減による売上の大幅減を防ぐために増税後のタイミングで使える割引クーポンを配布したり、増税後のタイミングでセールを開催したりというという小売店もあるというから、話はさらに複雑になってくる。

増税分を転嫁して値上げされることが決まっている商品・サービスも相当程度あるため、消費者物価全体としてみれば消費税増税が上昇圧力となることについて疑いはない。しかし、個別品目の物価については、企業の価格戦略に左右される部分が多く、増税後、想定外の動きをするものがあってもおかしくない。消費増税前後の物価や個人消費の動向をマクロ統計で確認するためには少なくとも2ヶ月程度は待つ必要があるため、妻の買い物に付き添いつつ、価格動向には一層目を光らせる必要があると感じた次第である。


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