大和総研コラム

ジャカルタで遭遇してしまったトラブル

  • 国際
  • 掲載日 : 2014年3月18日
  • 大和総研経済調査部 エコノミスト 新田尭之

先月、ジャカルタに出張した際、スカルノハッタ空港でトラブルに遭遇した。出国手続きを無事に済ませ、免税店でお土産も買い、そろそろ搭乗ゲート近くに移動しようかと思っていたところ、ジャカルタ経由でバリに旅行に行っていたという日本人の大学生2人に「ATMの位置を空港職員に聞きたいけど英語に自信がないので代わりに聞いて欲しい」と話しかけられた。話を聞くに、どうしても1万円の現金が必要らしいのだが、手元にないのでATMでお金をおろしたいらしい。

心の底で“Where is ATM?”となぜ言わないのかと思いながら、彼らの代わりに空港職員からATMの場所を教えてもらい、そこに彼らを先導した。しかし、ATMがキャッシュカードを認識しない問題が発生。もしかしたらインドネシア独自のATMの使い方があるのかと思い、近くの店の店員を呼んで手伝ってもらったものの、結局問題は解決されず埒が明かなくなった。

搭乗ゲートへの集合時間も迫りつつあった矢先、1人の出国審査官がこちらにやってきて2人にパスポートを手渡した。

何が起こったのか意味がわからずしばらく呆然としていたが、その後2人に事情を聞いたところ、出国審査官がパスポートにバリの出国スタンプが押されていないことを理由にパスポートを没収し、返してもらいたければ1万円を渡せと言ってきたという。

この発言には突っ込み所が満載である。具体的には、①パスポートにスタンプが押されていない原因はバリの空港職員によるミスであり、旅行者に帰責性はない、②現地通貨のルピアではなく日本円を要求することが不自然過ぎる、などである。

要するに、今回の話は出国審査官が日本人大学生2人を騙して賄賂を得ようとしたが、彼らはお金を持っておらず、搭乗時間も近づいてきたので諦めたといったものであろう。

また、個人的にも今回の出張中にお金を騙し取られそうになる事態に直面した。ある日の夜、お腹が空いたのでホテルの近くの屋台エリアをうろついていたところ、いきなり手首を掴まれた。振り返ると4人組がそこに立っており、「アイムポリース。マネーマネー」と連呼してきた。

「警官に絡まれるとはかなり厄介なことになった」と一瞬思ったが、彼らの服装をよく見ると、1人はヨレヨレの警察服らしきものを着ていたが、その他3人が着用していたのはボロボロのTシャツ、短パンであり、私服警官を名乗るにはあまりに胡散臭過ぎる恰好であった。また、1人は肩に掛けていたM4A1らしき銃を必死にアピールしてきたが、一見して本物ではなく質の低いおもちゃと分かるものであった。内乱が起こってないにもかかわらずアサルトライフルを道端で装着するセンスが個人的な笑いのツボに入り、しばらく大爆笑した後、手を振り解き立ち去った。このため、最終的にお金を取られることはなかったが、ニセ警官達の変装のクオリティ次第では騙されたかもしれないと思うとちょっと怖い経験だった。

これら2つの事例を通じ、インドネシア経済が将来成長する上での不安が少々強まった。もちろん、賄賂の要求や悪い治安は観光のみならず、外資系企業がインドネシアに進出する上での大きな障害となる。しかし、個人的に気になったのは、自分ではリスクをほとんど負わずに情報を持っていない素人 (上記のケースでは外国人) を騙そうとする人がいたことである。今後、インドネシアに世界で競争できる企業が誕生するには自力でリスクを取って努力する人間が増えることが必要であろう。


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