大和総研コラム

増加が期待される女性研究者

  • 消費 / 社会
  • 掲載日 : 2014年2月25日
  • 大和総研環境調査部 主任研究員 伊藤正晴

平成25年6月に閣議決定された「日本再興戦略 -JAPAN is BACK-」で、「女性が働きやすい環境を整え、社会に活力を取り戻す」、「オールジャパンの対応で『技術立国・知財立国日本』を再興する」とあるように、日本の成長にとって女性の活躍推進と科学技術イノベーションが欠かせまい。また、科学技術イノベーションでは、多様な視点や発想を取り入れ、研究活動を活性化するために、女性研究者の活躍が期待されよう。そこで、科学技術分野における女性の活躍推進の状況と課題について検討してみた。

まず、総務省「科学技術研究調査」で女性研究者の状況を見よう。調査対象である企業、非営利団体、公的機関、大学等における女性研究者の比率は、平成15年の11.2%から連続して上昇し、直近の平成25年は14.4%となっている。女性の活躍推進が進んでいるようである。しかし、直近の女性研究者の比率14.4%は国際的に見るとまだまだ低い水準にある。内閣府の「男女共同参画白書 平成25年版」によると、各国の女性研究者比率は英国が38.3%、米国が34.3%、ドイツが24.9%などとなっており、日本における女性研究者を増やすための方策をより一層進める必要があることがわかる。

次に、女性研究者の活躍推進における課題と対策についてであるが、まず、女性研究者の人材プールとなる理系分野に進学する女子学生を増やすことが課題となろう。この課題に対する対策としては、内閣府男女共同参画局では“Challenge Campaign”として理工系分野への進学を希望し、科学技術分野で活躍することを目指す女子高校生・女子学生に向けて、理工系分野で活躍する女性からのメッセージなどの情報提供を行っている。また、独立行政法人科学技術振興機構は「女子中高生の理系進路選択支援プログラム」で、科学技術分野で活躍する女性研究者等と女子中高生の交流機会の提供や出前授業の実施など、女子中高生の理系進路選択の支援を行っている。

また、自然科学系研究者・技術者に対するアンケート調査の解析報告書である「第三回 科学技術系専門職の男女共同参画実態調査」男女共同参画学協会連絡会 (2013) によると、女性研究者が少ない理由としては、「家庭と仕事の両立が困難」、「育児期間後の復帰が困難」が上位に挙げられている。女性研究者にとって、結婚や出産、子育てなどのライフイベントと研究の両立が大きな課題となっていることを示していよう。その対策としては、独立行政法人科学技術振興機構は「女性研究者研究活動支援事業」で、ライフイベントと研究を両立するための環境整備を支援している。また、この課題は科学技術分野だけではなく、日本の成長戦略で「女性が輝く日本へ」として「待機児童の解消」、「職場復帰・再就職の支援」などが挙げられているように、日本全体での取り組みがなされている。家庭と仕事の両立については、男性も家庭を構成する一員であるという自覚を促し、夫婦が協力して家庭を運営することをさらに進める必要もあろう。

人材プールの拡大、ライフイベントと研究との両立などの課題に対するさまざまな方策により女性研究者の活躍がさらに推進され、日本の成長に寄与することを期待したい。


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