大和総研コラム

ドイツ総選挙予想:メルケル首相続投で変わらないドイツ?

  • 国際
  • 掲載日 : 2013年9月9日
  • 大和総研経済調査部 シニアエコノミスト 山崎加津子

ドイツ連邦議会選挙まであと2週間を切った。メルケル首相を擁するCDU (キリスト教民主同盟) /CSU (キリスト教社会同盟) は、各種世論調査で4年前の総選挙後、一貫して第1党の座にあり、9月22日の選挙で第1党となると見込まれる。単独では過半数に達しない見込みであるため連立政権を作る必要があろうが、FDP (自由民主党) との連立政権が続投となる可能性が出てきている。これはFDPの支持率が一時の2~3%から最近は5~6%に回復しており、ドイツ連邦議会での議席獲得に必要な得票率5%以上 (もしくは小選挙区で3人以上の当選) を達成できる可能性が高まっているためである。

FDPが議席獲得に失敗するか、もしくはCDU/CSUとFDPの議席の合計が過半数に届かない場合は、CDU/CSUと最大野党のSPD (社会民主党) による大連立政権が誕生する可能性が高いと予想される。ルーツを辿ればCDU/CSUはブルジョア政党、SPDは労働者を支持基盤とする政党で戦後長らく対立関係にあったが、現在はどちらもより中道な政党に変わっており、政策の相違は大きくはない。なにより2005年10月から2009年9月のメルケル首相の第1期政権は、この大連立政権であった。FDPが連立与党となって、高額所得者に重点をおいた減税措置を主張したり、ユーロ圏危機対策で不協和音を醸し出していた第2期メルケル政権と比べると、第1期の方が良かったと国民には大連立政権の復活に待望論がある。

現政権の続投にせよ、大連立政権の復活にせよ、メルケル首相は続投となろう。ドイツの政策もこれまでの継続となり、選挙が終わったことで大きく転換する可能性は低いと予想される。例えばギリシャ支援や銀行同盟推進に関して、ドイツの総選挙が終われば対策の進展がスピードアップされると期待すると、それは期待はずれに終わるだろう。現政権の続投ではなく大連立政権となった方が、ユーロ圏危機対策において財政緊縮一辺倒ではなく、経済成長や雇用対策にも配慮した政策が採用されるのではとの期待があるように見受けられるが、大差はないのではないかと考えられる。

ただしこれは、ドイツの次の政権が財政緊縮のみを主張し、ユーロ圏の財政懸念国の景気回復に全く配慮をみせないと言いたいわけではない。メルケル首相の基本姿勢はじっくり考えて慎重に判断するというものだが、変化を回避しているわけではなく、国内政治では社会的弱者保護や再生可能エネルギー推進など元来は野党の政策をさまざま取り込んできた。同様のことがユーロ圏危機対策でも実は進行してきたとみられる。例えば、アイルランドやポルトガルに対して財政支援で借りた資金の返済期間延長を容認し、またフランスやイタリアが政権交代後に財政緊縮政策に加えて、景気対策を実施していることにも異を唱えてはいない。メルケル政権は一見するよりも柔軟な政策対応ができる政権だが、その変化が慎重にひっそりと行われるために、変化していることすら認識されにくいという欠点があるように見受けられる。そのような政権がまた4年継続すると予想される。


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