大和総研コラム

観光立国への道のり

  • 国際
  • 掲載日 : 2013年7月16日
  • 大和総研経済調査部 エコノミスト 井出和貴子

日本政府は、7月1日から、東南アジア5カ国についての訪日ビザの免除と緩和を実施した。国によって緩和条件は異なっており、タイとマレーシアは、IC一般旅券を所持している旅客を対象にビザが免除となった (滞在期間はタイが15日まで、マレーシアは3カ月まで) 。ベトナムとフィリピンについては、滞在期間15日・有効期間最大3年までの数次ビザへの緩和となり、インドネシアは数次ビザ (有効期間3年) の滞在期間を最長30日間に延長した。

今回のビザ免除・緩和は日・ASEAN友好協力40周年を契機として実施されたものだが、報道によると、昨年の尖閣諸島の国有化以降、中国人観光客の訪日が減少しており、東南アジアからの訪問客からの増加を目指す狙いもあるようだ。

日本政府観光局 (JNTO) によると、今回対象となる5カ国から日本への観光客数は、今年1-5月の累計で37万5,900人 (推計値) と、昨年同期比で41.2%増加している(※1)。絶対数では韓国、中国からの訪日客には及ばないが、伸びでは他地域を大きく上回っており、東南アジアからの観光客の増加が目立っている。政府は2013年の訪日客数目標を前年比+20%の1,000万人としており、アジア方面からの観光客の重要度は増している。特に地方の観光地にとっては、観光収入は重要な収入源の一つであり、日本人の高齢化・人口減少が進む中では外国人観光客の増加は大きな課題となっている。

ところで、世界全体で比較してみると、2011年の日本への訪日客数 (861万人) は世界では30位、アジア地域でも8位となっている(※2)。2011年は東日本大震災による訪日客数減少の影響もあったとみられるが、それでも1位のフランス (7,680万人) や2位のアメリカ (5,975万人) 、中国 (5,567万人) などへの観光客数と比較すると「観光立国」の目標の達成にはまだまだ遠いと言わざるを得ないだろう。

先ごろ世界遺産に登録された富士山をはじめとする自然や文化財など、日本は多くの観光資源に恵まれている。しかし、観光産業もグローバル化が進んでおり、外国人観光客に日本を訪れてもらうためには他の国・地域との差別化やアピールが必要な時代になっている。政府は訪日客増加のため、プロモーションをはじめとする観光振興施策を行っているが、日本が観光立国を目指す上で、旅行者向けのインフラサービスの更なる充実はもちろん、それ以外にも、身近な環境保護や町並み保存など、日本人が見落としがちなことも含め、オールジャパンで外国人に日本の魅力を伝える知恵を絞る必要があるのではないかと思っている。


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