大和総研コラム

中国の「三公消費」の抑制は何時まで続くのか?

  • 国際
  • 掲載日 : 2013年7月1日
  • 大和総研経済調査部 シニアエコノミスト 齋藤尚登

2012年12月4日に開催された中央政治局会議では、共産党幹部の活動について8項目の規定を発表、そのひとつとして視察の際に同行者を減らし、送迎などに一般市民を動員せず、宴席を設けないことなどが指示された。中央軍事委員会では宴席を設けず、酒を飲まず、高級食材を使わないことなどを規定。政府機構や国有企業などもこれに倣い、高級レストランでの宴会などが自粛されているという。こうした綱紀粛正は「三公消費」 (公費による飲食、公用車の私的流用、公費による出張・旅行) の抑制として具体化されている。

6月2日~6月7日まで、中国北京市・天津市を訪問する機会を得た。ヒアリング先からは「三公消費」抑制の徹底ぶりが確認された。曰く、「特に地方政府主催の宴会が激減し、食事の機会はあってもアルコールは一切出されなかった」、「高級レストランの客足が鈍り、次回以降使える割引券が出るようになった」、「北京のギフトカードの売上は3割減、法人需要である集団購入は3割減~4割減になった」など枚挙にいとまがない。マクロ統計にもこうした動きは表れており、小売売上の10%強を占める飲食 (レストラン) 収入は、2012年の前年比13.6%増から2013年1月~5月は前年同期比8.5%増に減速している。

今後、「三公消費」の抑制は何時まで続くのか、という問いに対するヒアリング先の回答は、半々に分かれた。具体的には、①政府機関や国有企業、軍は交際費予算をあまり使っていない状況であるが、来年度予算は今年度の実績に基づき決定されるため、年末に向けて予算消化に走る可能性が高い、②「三公消費」の抑制は、一般市民の不満を和らげ、新政権の清新なイメージ作りに寄与しているほか、新政権への忠誠度を測るバロメータにもなっているため、中期的にも継続される、との見方である。

個人的には、いずれの場合でも時間差こそあれ中国の消費総額への影響はさほど変わらないとみているが、内容は大きく異なる。①では、「三公消費」が元に戻るだけだが、②では、政府や企業の「過剰な (無駄な) 」支出が抑制され、それが社会保障の拡充や所得税減税 (所得控除額の引き上げを含む) などに充てられれば、全体的な所得環境の改善をもたらすことになる。中国が目指す持続的安定成長のためには、「三公消費」の抑制が中期的にも維持されるのが好ましいのはいうまでもない。


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