大和総研コラム

アプリは使いたい、ポイントも欲しい、しかしプライバシーは守りたい

  • 消費 / 社会
  • 掲載日 : 2013年4月10日
  • 大和総研環境調査部 主任研究員 小黒由貴子

最近、プライバシーに関する話題に、気になるものが多い。一つ目は、異業種間の共通ポイント化が活発になっていることである。先ごろJALとAmazonのポイント提携が発表された。一方、ANAは楽天ポイントと連携しており、「JAL・Amazon」vs「ANA・楽天」か、などという記事も見られる。また、2013年3月27日付け日経新聞の電子版によると、異業種間の共通ポイントサービスを提供しているTポイント、ポンタ、楽天スーパーポイントはそれぞれ、会員数が約4,400万、約5,200万、約8,100万、加盟店数が約5万2,400、約2万1,600、約4万となっている。こうしたポイント提携が進められるのは、消費者の購買情報、位置情報、口コミの書き込みなどの多様な情報を集め、パーソナライズしたマーケティングに活用することが目的の一つである。

二つ目は、スマートフォン (高機能携帯電話。以下、スマホ) のアプリケーション (以下、アプリ) や、Web上のサービスである。アプリやサービス提供に必要な情報以外の情報も送信させたり、どういう情報がどこに送信され (場合によっては、第三者に提供され) 、どう使われるかという説明が不十分だったり、わかりにくいものが相変わらず多い(※1)。はたして利用者が、アプリの本当の動きを理解しているか疑わしい。また、利用者の全てのWebアクセス情報を取得するかわりに、ポイントを与えるサービスがある。あるサービスの利用規約には、秘匿性の高い情報を送るために使われる暗号化通信 (URLの頭がhttpsで始まり、ブラウザに鍵マークが表示される) (※2)も含むので、取得されたくない場合は利用者が注意するようにと書かれている(※3)。情報セキュリティ専門家などの間では、利用規約への同意があったとしても、こういう方法での情報取得は問題ではないかと指摘されている(※4)

三つ目は、ウェアラブル・コンピュータの登場である。Googleが、今年中にも眼鏡型の機器「Google Glass」を発売すると報道された(※5)。スマホやソーシャルメディアの普及で、知人のブログに自分との会食の写真を載せられてしまうなどの、自分でコントロールできない情報公開が発生しているが、ウェアラブル・コンピュータによって、こうしたことが加速化されてしまうのではないか、という懸念が出ている(※6)

無料アプリ・無料サービスの場合は、CMを見たり、機能が制限されている、ということで、有料版との差別化が図られていることが多い。しかし、上記のような状況を知るにつけ、空想するようになった。有料でもいいから、最低限の情報提供で済み (マーケティング的な情報は提供しない) 、一次提供者以外に情報が転用されないアプリや、通常よりもらえるポイントは少なくていいから、最低限の情報提供で済むサービスが出てこないか、と。また、「Do Not Track(※7)」 (Webアクセス行動記録の拒否) のような機能を持たせたウェアラブル・コンピュータを身につけていれば、他者のウェアラブル・コンピュータによる撮影・録画・録音を拒否できる (あるいは自動モザイク化される) ようになるといい。とはいえ、自らのプライバシーを買うことになるので、釈然としない方法ではある。

  • ※1 NICT情報通信セキュリティシンポジウム2013[招待講演1]田中 俊昭KDDI研究所 執行役員 「スマートフォンにおけるプライバシ問題と対処の方向性」 (平成25年2月14日)
  • ※2 ID・パスワードでログインする銀行などの金融機関サイト、ECやSNSなどの会員サービス、Webメール、社外から社内システムへのアクセスなどで使われる。
  • ※3 この他に、暗号化通信を含めたWebアクセス情報を取得させてもらうとしたモニター募集があったが、問題を指摘する意見が多いこと、自社でも見直すべき点があると判断したとのことで、募集は中止された。
  • ※4 そもそも暗号化通信される情報は取得すべきではない、利用者が取得の意味を本当に理解できるか疑問、取得されたくない場合の対応を利用者に押し付けている、などの理由による。
  • ※5 CNET Japan  2013/03/13 「『Google Glass』、眼鏡利用者向けバージョンも登場へ--2013年中に提供予定
  • ※6 CNET Japan  2013/03/29 「『Google Glass』が社会にもたらすもの--メリット、懸念、反発」に、「Google Glassを装着した別の人が、われわれのすることをすべて録画しているかもしれない。そしてそのデータがどこに送られて、誰がそのデータを収集しているのか、われわれにはまったく分からない。」とある。
  • ※7 窓の杜 #モリトーク 第34話 12/11/20 「初心者向けDo Not Track講座

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