大和総研コラム

アジアの力を日本の力に

  • 国際
  • 掲載日 : 2013年4月8日
  • 大和総研経済調査部 エコノミスト 井出和貴子

4月の新学期となり、入学式シーズンを迎えている。少子化が進む中、大学では学生の数と質の確保が問題となっているが、大学によっては国際化を目指し独自の改革を行い、秋入学の実施などにより留学生の受け入れを積極的に行おうとしている学校もあるようだ。

留学生の受け入れに関して、独立行政法人日本学生支援機構が公表した「平成24年度外国人留学生在籍状況調査結果」(※1)によると、平成24年の海外からの留学生数は約13万8,000人 (5月1日現在) で、ピークだった平成22年から2年連続での減少となっている。東日本大震災や原発事故の影響もあるだろうが、やや頭打ちの傾向が見えているのが気がかりである。

留学生の出身地別では、アジア地域が全体の92%を占めており、その中でも中国からの留学生が全体の63%と圧倒的多数となっている。中国、韓国、台湾の上位3カ国 (地域) で全体の78%を占めているが、中国、韓国からの留学生が前年より減少していることが全体の留学者数減少の要因となっているようである。

また、それ以外の出身国ではベトナムやネパール、マレーシア、インドネシア、タイが上位に入っておりやはりアジアからの留学生が多くを占めている。東南アジアからの留学生は国費留学などの長期留学生が多いことが特徴であり、短期留学生 (必ずしも日本での学位取得を目的としない、概ね1年以内の留学生) の数を見ると欧米からの学生が上位に入っている。欧米の学生は日本への異文化体験のために短期留学にやってくる傾向があるようだ。

アジアをはじめとする各国からの長期留学生は国費にしろ、私費にしろ、負担は大きいが、それでも「日本」で学ぶことを選択した学生達である。日本語という言語の習得は大変だろうと想像するが、それを乗り越えさらに専門的な知識を学んでいるという点で、その故郷の国にとっても日本にとっても大切な人材であることは間違いない。

ところが、今春入社する学生の採用活動で外国人留学生の採用を実施した企業は19.2%にとどまり、前年から実施率が低下しているそうだ(※2)。この数字を低いとみるか高いとみるかはそれぞれだが、個人的にはやや残念な気もする。もちろん留学生が卒業後そのまま日本での就職を希望しない場合もあるだろうし、母国に進出する日本企業での就労を希望することもあるだろうが、海外からの留学生が卒業後、そのまま日本で活躍の場を与えられる機会は多いに越したことはないと感じる。

話は多少異なるが、数年前からEPA (経済連携協定) に基づき、インドネシアやフィリピンからの看護士、介護士の受け入れが始まっている。専門的な知識を学び現場で活躍している人材が、日本語習得の壁により試験に合格できず帰国せざるを得ない事態が問題になっている。高齢化が進み労働力人口が減少していく日本にとって、若いアジアの人材活用は重要なテーマである。よくアジアの成長を日本の成長につなげるといわれるが、近年積極的にアジア方面に行われている日本企業の海外進出だけでなく、海外からの留学生も含め、日本という国がアジアの人々を受け入れる方法や姿勢についても、再考すべき時期にあるように感じている。


このコラムと同じカテゴリの他のコラムを読む

年別

カテゴリ別