大和総研コラム

外国人集住都市会議に参加して

  • 消費 / 社会
  • 掲載日 : 2012年12月26日
  • 大和総研調査提言企画室 長谷川永遠子

外国人集住都市会議東京2012に参加してきた。同会議は「外国人住民が多数居住する都市の行政並びに地域の国際交流協会等をもって構成し、(中略) 地域で顕在化しつつある様々な問題の解決に積極的に取り組んでいくことを目的として設立」された(※1)。2001年に浜松市で第1回会議を開催して以来、外国人住民に係る諸課題の調査や報告、討論を重ね、国や県、関係機関に向けた提言を活発に行っている。現在、会員都市は東海地方を中心に8県29市町に及ぶ。

1990年の出入国管理法改正以来、外国人の入国は急増し、かつ定住化が進んでいる。こうした展開は当初十分に想定されていなかったようだ。本来は、外国人を日本社会の一員として受け入れるかどうかの国民的議論を経た後に踏み出すべきだったが、受入れ方針の策定や政策実施機関の整備、必要な予算措置が伴わないまま実態が先行した。このため受入れ地域の自治体は組織化を進め、関係府省庁やこの問題に関心を持つ国会議員らに総合的な外国人関連政策の策定を働きかけている(※2)

外国人の受入れがどうあるべきかは、日本の人口動態、産業育成、治安、雇用、文化等と密接に関係しており、日本という国が将来どうなっていきたいかを考えるにも等しい。1990年に外国人の親から生まれた子供は既に二十歳を超えている。定住外国人がもたらした多様性をコスト増と捉えるか、日本の武器と捉えるか、これまで十分に議論されてきたとは言えない。自由貿易協定をめぐる議論と同様に、議論を尽くせば尽くすほど立場や意見の違いが鮮明となり、動きがとれなくなる恐れもある。

しかし、その間も外国人の権利・義務に関するルールがなくてよいという訳ではない。日本が外国から受入れたのは労働力という一生産要素ではなく、血が通ったヒトである。外国人受入れのあり方に何らかの国民的なコンセンサスができ、それに則ってルールを作ることができればそれに越したことはない。しかし、そうでない場合にも、どこかの時点で政治的な決断を下す必要があろう。それまで国民一人ひとりが、日本語を十分に解さず、地域コミュニティーに属さず、日本の教育制度や社会保障制度に組み込まれていない我々の隣人とどう接すればよいのか、大いに考え、語り合うこととしよう。

[図] 日本の外国人登録者数と総人口に占める割合
  • (注)外国人登録者数とは、居住市町村に登録を行った外国人数。入国管理局の把握している在留情報と異なり、不法滞在者でも登録申請が出来た。現在、外国人登録制度は廃止され、新在留管理制度に移行。正規滞在者のみに在留カードを交付し、正規滞在の外国人の転居情報は入国管理局が一元管理するようになっている。
  • (出所) 法務省より大和総研作成
  • ※1 外国人集住都市会議「設立趣旨」 (2001年5月)
  • ※2 外国人集住都市会議では『国に対して明確な「外国人の受入れに関する方針」を定めるとともに、各省庁を横断的に取りまとめ、多文化共生政策をより総合的・体系的に推進するために、(仮称) 外国人庁を創設すること』を求めている。外国人都市集住会議「いいだ宣言」 (2012年11月)

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