大和総研コラム

クリスマスにロシア万華鏡を回顧する

  • 国際
  • 掲載日 : 2012年12月25日
  • 大和総研金融調査部 菅野泰夫

本日はクリスマス、年越しまであと僅かとなった2012年。年末の恒例といえば今年の10大ニュース。ただしコラムでの制約もあるため、この1年での個人的に最も重要なニュースを考えてみた。

なんといっても今年最も印象的であったのは、待望の娘が誕生し何事にも代えがたい1年であったことだ。もうすぐ1歳になる娘もインターネットテレビ電話を活用した親戚との会話のおかげですっかりロシア語に慣れつつあるまでに成長した(※1)。最近はノートPCを開くとモスクワの祖母が出てくると勘違いすることもしばしば。非常に微笑ましい。まだはっきりと話すことはできないが、日本語、ロシア語、どちらの言葉で話し始めるか我が家の楽しみとなっている。

特に最近の娘のお気に入りは、モスクワの姪っ子も一押しの、ロシアで大人気のアニメシリーズ“マーシャ・イ・メドベージ”(訳すと、マリアちゃんと熊) 。小さい少女とサーカス出身で手先が器用な熊 (愛称ミーシャ) の物語である。昨今のディズニーアニメのようにCGで制作されているが、登場人物の設定は、昔のロシア人形アニメ、“チェブラーシカ”にも似ており、ロシアらしさが垣間見える作りとなっている。日本の子ども向けアニメは非常に良くできているが、大人がみると物語が単調で少々退屈になるものも多い。一方、このアニメはストーリーがしっかりしていて大人が見ても十分楽しめる。また登場キャラクターの大半が動物 (ウサギやオオカミなど) のため主人公のマリアちゃん以外は全てジェスチャーでセリフを表現するためロシア語が分からなくても十分理解できる。さらに、この熊が住んでいるダーチャ (ロシアの別荘) は、ディテールに凝っているため、衣食住の中に一般的のロシア生活を十分感じることができる (特に家の外にシャワーがあるところなどは絶妙) 。また、なぜかモスクワ-北京間を結ぶ国際大陸横断鉄道 (実在) の線路沿いに住んでおり、しばしば中国から遠い親戚のパンダ (恐らく熊つながり) が電車で遊びに来る設定となっている所も興味深い。ストーリーの多くの回で雪が積もっている所もロシアらしく、最近のアニメなので、旧ソ連時代にはなかったクリスマスもしっかり祝っていたりする。

ロシア語でのインターネットTVの提供であるが、最近のブラウザーはページ一括で翻訳してくれるためどこに何があるか程度はだいたい理解できる。昔に比べてロシア語から日本語への翻訳も相当改善したため、ロシア語が分からなくてもカード決済をして好きな番組を楽しめる所まで進歩した。IT技術の進歩は格段と世界の距離を縮めていることを実感する。インターネットプロトコルの完成度の高さ、オープンソース思想の素晴らしさを実感し、専門はそっちのけで、インターネットビジネスに熱中していた学生時代を思い出す。まさかここまで技術進歩の恩恵に与るとは思いもよらなかったが、当時の担当教授の言葉はこの時代を予言していたかのようであった。「機械の多くはシステムに置き換わる。よって今教えている講義はもうすぐ必要がなくなるであろう。なぜならば、“機械は動けば壊れる”ため非効率だから」だそうだ。

仕事柄、ベンチャーキャピタル投資をリサーチしており、官公庁の受託調査などを通じて日本での活性化を模索していた時期が長く続いた。ただし当時はリーマン・ブラザーズの破綻を契機にオルタナティブ投資が冬の時代に突入し、投資環境が改善せず不遇な時代であったことは非常に残念なことであった。しかし昨今では、クラウド・ファンディングなどの新しい手法を通じて、再度ベンチャー投資の気運が復活しつつある報道が増えていることは非常に喜ばしいことである。グーグルの創始者の1人はロシア人であるように、ロシアのIT技術は素晴らしいものを持っているケースもある。現在ではロシアの技術や、アニメなども投資の一つとして考えることは十分可能な時代になったのではないであろうか。どこかのベンチャー企業がロシアのアニメをどんどん輸入してくれないかなと思う毎日である。


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