政府の「需給検証委員会」(※1)が、一般電気事業者9社 (沖縄電力を除く) が提出した今冬の電力需要予測と最大供給力見通しに対して検証を行った。厳冬となることを想定した上で、いずれの地域においても瞬間的な需要変動に対応するために必要とされる供給予備率(※2)+3%以上を確保できる見通しである(※3)。ただし、予断を許さない状況にあることに留意すべきで、電力融通などの協力体制の維持・拡大を電気事業者等に求める一方、節電行動の継続などの取り組みを促すよう需要家に明確に要請すべきであると提案した。
この報告を受け、「エネルギー・環境会議」と「電力需給に関する検討会合」の合同会合は、沖縄を除く全国で2012年12月3日から2013年3月29日までの平日を対象に節電要請を行うことを決定した。系統規模が小さく、他電力会社からの電力融通の量が限られる北海道のみ▲7%以上 (2010年度比) の節電目標を設けるが、他の地域は数値目標をたてずに今夏に続いて一般的な節電を呼びかけることにした(※4)。一般的な節電によって見込まれる節電 (定着節電) は、東京電力管内で▲5.0%、関西電力管内で▲5.6%などとなっている (図表1) 。定着節電とは、昨夏、昨冬、今夏に行われた節電の実績をベースに今冬見込まれる節電を指している。
昨冬の定着節電の内容は「家庭の節電・CO2削減行動に関する調査 (冬季調査) 」(※5)で明らかにされている。節電を強く意識していた世帯は全体の27%で (震災前は12%) 、電力消費量は震災前と比較して平均4.9%削減された。節電を意識した理由は、80%の人が「光熱費が安くなるから」という経済的理由だが、73%の人が「電力が不足しているから」という理由で節電したと回答している。
具体的な節電行動は、電気機器の使い方を工夫することと、エネルギー消費効率の高い機器へ買い替えることの2つに分けられる。使い方における機器別実施率の上位機器は、エアコン (暖房) 、給湯、電気カーペット・こたつなどで、使用時間の短縮、低い温度設定、使用そのものの停止などの工夫がみられた。一方、節電を理由にした買い替えの上位機器は、扇風機、エアコン、冷蔵庫となっている。この他、白熱電球をLED電球や電球型蛍光灯に交換した世帯も半数に及んだ。
図表2は家庭における機器別電力消費量の内訳を示したもので、電気冷蔵庫、照明器具、テレビ、エアコン、電気温水器などが大きな割合を占めている。これらの機器は昨冬の節電行動の機器とほぼ重なっており、定着節電の方向性は間違っていないといえよう。今冬も家庭における節電行動が更に普及促進されることに期待したい。
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