大和総研コラム

目覚まし時計が鳴り始めました。さあ時間ですよ、起きてください!

  • 国際
  • 掲載日 : 2012年8月24日
  • 大和総研理事 木村浩一

松下金融担当大臣が8月7日の記者会見で、2年前、モンゴルのエルベグドルジ大統領を訪問した際、大統領から次のような話があったと披露している(金融庁ウェブサイト)。

「私たちの国は小さな国で、しかし、広大な国土を持っている。周りは中国やロシアといった大きな大国に囲まれて、私たちの国はあります。外に出ていくにも、その国を通っていかなければ、その国の鉄道や道路を利用しなければ海に出ていけない......日本の国は、周りが海に囲まれていて、どこにでも自由に行けるではないですか。」

日本人は当然のこととして普段意識しないが、四囲を海に囲まれ隣国と国境を接していないということが、どれほど恵まれ幸運なことであろうか。世界地図を見ると、主要国の中で島国なのは、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドと日本ぐらいだろう。世界史の中で、国内に資源が乏しく人材だけが資産の国は、海外に活路を求めて雄飛していった。中世のベニス、ルネッサンス期以降のスペイン、オランダ、近代のイギリス。

一方、大陸国のドイツ、フランス、ベネルクス3国やポーランドは、長い歴史の中で他国からの侵略と戦争により多くの犠牲を強いられてきた。その歴史を繰り返さないため、第2次世界大戦後、EUが産まれ、現代のヨーロッパの政治家は、多くの困難の中、ユーロを守ろうとしている。

戦後に生まれた日本人は、経済成長により豊かな社会に育ち、貧困の克服のため海外にあえて出て行く必要性は少なかった。観光旅行を除き、日本語だけで生活でき、仕事もでき、これまでは心地いい島国の国内だけで一生を完結できた。また、バブル崩壊後は、日本人の海外留学生が減るなど、日本人の内向き志向が強まっている。しかし、1990年代以降の経済の停滞、日本経済の世界的地位の低下、少子高齢化による内需の減少など、このままでは日本は衰退の道をたどっていく。エルベグドルジ大統領の言うように、我が国はどこにでもいける海を使って、海外に活路を見出していくことが求められよう。

拙稿の内容とは文脈が異なるが、エルベグドルジ大統領は、2010年11月に日本を訪問し、国会で日本国民に対し次のような演説をしている(衆議院、参議院ウェブサイト)。

「『目覚まし時計』が鳴り始めました。......『さあ時間ですよ、起きてください!』」


このコラムと同じカテゴリの他のコラムを読む

年別

カテゴリ別