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2018年5月23日

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「半値戻しは全値戻し」の2つの意味、半値戻しで取るべき行動は ?

「半値戻しは全値戻し」の2つの意味
(写真=PIXTA)

「半値戻しは全値戻し」という相場格言・経験則がある。一般的には相場の反発力の強さを示すと解釈されている。しかし、実はもう一つの全く正反対の解釈もある。2つの意味と対処法を紹介しよう。

「半値戻しは全値戻し」の2つの意味

半値戻しとは、相場が下落した後、反転して戻りに転じた時、下げ幅に対して半分程度まで戻ることを言う。例えば株価が1,000円から700円まで下落した後に、この下落幅300円の半分となる150円を戻す、つまり株価が700円から反発して850円まで戻すことだ。そして全値戻は下落幅300円全てを戻す、つまり700円から元の水準1,000円まで戻すことを指す。

この「半値戻しは全値戻し」は、一般的には相場の反発力の強さを強調したい時に使用されることが多い。株価が何らかの要因で下落しても、その下落幅の半分を戻すくらいの反発力があれば、いずれは元の水準まで戻る全値戻しの勢いや上昇力があるという解釈だ。

この解釈によると半値戻しは買いのタイミングとなる。あるいは安値圏で慌てて売らずに保有しているほうが良いということになる。

もう一つは、半値戻しは一時的な反発に過ぎないという解釈だ。この解釈によると半値戻しが戻りのメドや戻り売りのタイミングとなる。これは上述の反発力の強さとは全く正反対の解釈だ。そして利益確定売りのタイミングを逃した場合、あるいは高値圏で買って含み損を抱えている場合には、下落相場の中で半分も戻せば十分なので、欲張らずに手仕舞う方が良いということになる。

どちらの局面かは株価下落要因などから判断

前者のように反発力が強いことを示す半値戻しなのか、それとも後者のように一時的な反発に過ぎない半値戻しなのか、どちらの局面なのかは、株価が下落した要因やテクニカル分析などを活用して判断する。

例えば株価が下落した要因で見ると、好業績にもかかわらず決算発表を機に株価が急落することがある。このような場合には、好材料出尽くしで目先的に利益確定売りが優勢になったなどと解説され、短期資金による売り仕掛けやテクニカル要因が指摘されることもある。

しかし、悪材料が出て成長期待が剥落したわけではないので、目先的な売り一巡後には好業績を見直す押し目買いや売り方の買い戻しが優勢になり、半値戻しから全値戻しまで達成することが多い。したがって買いの好機となる。あるいは慌てて売らないほうが良いということになる。

一方で業績予想の下方修正、期待されていた大型新薬の開発中止、経営基盤を揺るがす不祥事の発覚など、悪材料が出て失望売りが膨らんだ場合は、短期資金によるリバウンド狙いの買いや売り方の買い戻しで半値戻しを達成しても、それは一時的な反発に過ぎず、その後は戻り待ちの売りが優勢になって再び下落に転じることが多い。

このような場合には、成長期待の剥落や経営悪化懸念が背景にあるため、長期資金の積極的な買いに繋がらず、株価の回復に時間を要することになる。短期資金によるさらなる売り仕掛けが入り、投げ売りを誘って安値を更新していくことも少なくない。したがって半値戻し水準で欲張らずに手仕舞ったほうが良いということになる。

チャート分析も活用

チャート分析を活用する方法もある。投資初心者の場合は株価チャートを眺めて、右肩上がり、横ばい、右肩下がりといった大まかなトレンドを判断するだけでも良い。押し目を交えながら上値や下値を切り上げていく右肩上がりのN字型が上昇トレンド、一時的な反発を交えながら上値や下値を切り下げていく右肩下がりのN字型が下落トレンドだ。

下落トレンドの途中で、半値戻しから全値戻しを達成する動きになれば、反発力の強さでトレンド転換の期待が高まるが、半値戻しから反落すれば下落トレンド中の一時的な反発に過ぎないということになる。悪材料で株価が窓を空けて急落したような場合には、窓埋めできるかが目安となる。

また「半値戻しは全値戻し」の逆で「半値押しは全値押し」という相場格言・経験則もある。半値押しというのは上昇幅の半分下落することだ。上昇トレンドの途中で、半値押しから反発すればトレンド継続が期待され、半値押しから反発せずに全値押しまで下落した場合はトレンド終了・転換が警戒される。

半値押しは買い、半値戻しは売り

株価チャートで見ると現実的には、上昇トレンドの半値押しは一時的な下落のため買い、下落トレンドの半値戻しは一時的な反発のため売りというケースが多いようだが、さまざまな事例を見ながら学んでいくことが重要だろう。

(提供:株式会社ZUU)

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