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2017年11月16日

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分かっているようで曖昧な「資産運用」と「資産形成」の違い

「資産形成」と「資産運用」の違い
(写真=PIXTA)

資産を殖やすことを表す言葉に「資産運用」や「資産形成」があるが、この二つは似て非なるものである。この両者の違いをきちんと説明することができるだろうか。何となくしか違いを捉えられていないかもしれない。今回は「資産運用」と「資産形成」の違いについてお伝えしたい。

資産形成と資産運用の違いとは

資産形成とは、資産を一から築いていくことだ。ある程度まとまった金額をためていくことを指すこともある。一般的に、資産形成の代表的な源泉は「労働収入」だ。

一方の資産運用とは、今ある資産を使って、資産をさらに殖やしていくことである。例えば、株式投資、不動産投資などが挙げられる。定期預金として銀行にお金を預けることも、実は資産運用の一つである。リターンの大小によって、投資対象や運用方法が変わってくるため、あらかじめ運用方針や目的を明確にしておく必要があるといえる。

資産を形成するためには

収入は資産形成に直結する。例えば、年収500万円と年収1,000万円の場合で考えてみよう。生活費が同じ300万円ならば、500万円の場合は200万円、1,000万円の場合は700万円が手元に残る (キャッシュフロー) ことになる。老後の資産形成に3,000万円を用意したい場合、年収1,000万円の人は約5年で達成できるが、年収500万円の人は15年かかる。年収が高い方が、資産形成が早いと言える。

もっとも、上記は税金などを考慮していない単純計算なので、実際のキャッシュフローとは異なる。日本は累進課税方式なので、年収が高くなればなるほど納める税金が多くなる仕組みだ。加えて、一般的には、収入が高くなるほど生活水準も上がり、思ったほどのキャッシュフローを実現できない場合もあるだろう。しかし、少なくとも、年収が上がることで資産形成が早くなる確率は上がる。

従って、資産形成をするために重要なのは「収入の高さ (大きさ) 」と言うことができるだろう。

資産形成における資産運用

では、どうすれば収入を上げることができるだろうか。会社員の場合は、出世や査定によって昇給したり、営業成績に連動した賞与をもらったりすることが挙げられる。同じ職場で年収アップが望めない場合、高い年収を得ることを求めて転職する必要もあるだろう。

近年は副業を行う人もいる。本業の収入に変動がなくても、副業をしてお金を稼ぐことができれば、それだけで昇給したことと同じになる。例えば、年間100万円を副業で稼ぐことができれば、上記の年収500万円の人は年収600万円となる。資産形成のスピードも速くなり、3,000万円の資産形成も10年に短縮することができる (税金などは前述の通り考慮せず) 。

ここで気をつけたいのが「資産形成において資産運用は補助ツールである」ということだ。

資産運用だけで、もしくは資産運用を柱に資産形成するのは容易ではない。年間利回り10%としても、資産運用だけで年500万円を得ようとすると元手が5,000万円必要だ。年1,000万円を得ようとしたら元手1億円が必要だ (どちらも税金などを考慮しない場合) 。そもそも、元手が5,000万円や1億円あれば、それはもう「資産形成がある程度できている」とも言える。

一般的に、年間利回り10%ですら「かなりの好成績」である。もちろん、それ以上の利回りを幾年にも渡って得られる可能性もある。株式市場には短期間で10倍以上値上がりするような所謂「テンバガー銘柄」が眠っている可能性も否定できない。ただ、資産運用にローリスクハイリターンは存在せず、高い利回りを求める場合は、それ相応のリスクを背負うことを肝に命じたい。

以上のことから、資産形成の柱は収入、正確に言うと「収入から支出を引いたキャッシュフローの積み上がり」に置くべきであり、資産運用はその積み上がりを早める補助ツールと考えておきたい。

資産運用で資産形成の後押しを

補助ツールとはいえ、資産運用が資産形成を後押しする力は大きい。段々と積み上がっていくキャッシュフローを資産運用すれば、複利効果を発揮させることができる。そして、積み上がるキャッシュフローの額が大きくなればなるほど、時間が経てば経つほど、複利効果は大きくなる。資産運用は、言わば資産形成の加速装置だ。

資産運用に取り組む場合は、目的に合わせた投資先の選定や運用方法を選択することが求められる。自分で全てを判断することが難しい人は、ぜひ専門家の力を借りて頂きたい。どちらにせよ、「キャッシュフローの積み上がり」と「資産運用」の両輪を意識すれば、より早く資産を形成できる確率は上がるだろう。

(提供:株式会社ZUU)

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