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2017年9月12日

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夢や目標を叶えるため 逆算の資産管理「ゴールベース・アプローチ」

ゴールベース・アプローチ
(写真=marekuliasz/Shutterstock.com)

投資にはある程度の専門知識が必要だ。しかし、資産を殖やしたいと考えている方のなかには知識を学ぶ時間が限られていたり、最適な投資手法を選ぶ自信がなかったりする人もいるだろう。そのようななか「ゴールベース・アプローチ」という資産管理手法がじわじわと注目され始めている。その概要について紹介しよう。

ゴールベース・アプローチとは

ゴールベース・アプローチとは、近年、金融業界で注目されつつある新たな資産管理のアプローチであり、「個人個人の夢や目標 (ゴール) を叶えるため資産を管理していく方法」のことだ。

ここでいう「ゴール」とは自身の金銭的な問題のみならず、例えば子どもへの教育や死後に残された家族の生活の心配、または将来の生活水準への希望など、漠然としたあらゆるものが想定されている。ゴールの実現から逆算して、資産の置き場所を考え、同時に支出をコントロールする取り組みだ。

例えば、40歳の会社員Aさん (東京在住・既婚・子供2名) がいたとしよう。Aさんの夢は、現在の会社を定年となった後、故郷のX市にセカンドハウスと田畑を買って、体の動くうちは東京とX市を往復し、晴耕雨読の日々を過ごすことだという。しかし、その夢を叶える為には、配偶者との最低限の生活費は確保したうえで、少なくともセカンドハウスの購入費、田畑の購入費、畑道具の購入費、東京との交通費などが必要だ。

例なので、細かい数字は割愛するが、それらの夢を実現するためには大体〜万円かかり、Aさんの今の年収と保有資産を鑑みると、今後は年間◯万円の貯蓄が必要で、かつ60歳までの20年間で平均利回り△%を確保する必要がある、などと逆算することができる。

この逆算に沿って、Aさんは保有資産をどのようなポートフォリオを組んで運用していけばいいのか、また支出をコントロールして年間いくら貯蓄すればいいのか、具体的な行動に落とし込んでいくことになる。金融商品を組み合せて利回りを求めることは重要である一方、外食を控えたり通信費を見直したりすることによって支出を抑えることが必要かもしれない。場合によっては、タックスマネジメントが必要な場合もあるだろう。

サービスを提供する側と受ける側

つまり、ゴールベース・アプローチという手法において、サービスを提供する側の金融機関 (金融アドバイザー) は、これまで行ってきた金融商品の紹介・販売 (ブローカレッジ営業) に加え、顧客の人生設計をヒアリングして、ひとりひとり異なる課題を解決する (コンサルティング営業) ことが求められる。従って、税制などを含めた専門的な知識が一層必要になるだろう。もちろん、顧客の金銭面における「人生の伴走者」になり、夢や目標を教えてもらうわけなので、人間性や人間力も重要視される。

サービスを受ける側の個人 (上記の例ではAさん) も受け身の姿勢ではいけない。金融市場の行く末はコントロールできないが、支出の見直しは自分次第で何とでもなる。また、定期的にアドバイザーと面談することによって、進捗の確認や軌道修正ができるので、能動的な意識を保つことが重要だ。自分の人生の主役は自分自身なのである。

ゴールベース・アプローチをより濃密な手法とするためには、サービスを提供する側と受ける側、双方の熱量が必要と言える。

ゴールベース・アプローチの未来

日本では「貯蓄から投資へ」というスローガンが独り歩きし、現実はなかなか直接金融の拡大が進んでこなかった。しかし、近年は、顧客の投資経験やリスク許容度をヒアリングしてオーダーメイド型のポートフォリオを提供する「ラップ口座」や「ロボアドバイザー」が急速に残高を伸ばしている。

金融機関は少しずつ「ブローカレッジ営業」から「コンサルティング営業」にビジネスモデルを移しつつあり、日本でもゴールベース・アプローチが普及する下地が少しずつ整っていると言えるだろう。個人にとってゴールベース・アプローチが有用なのはもちろんのこと、金融業界にとっても、資産運用に携わる個人が増えることは、中長期的にはメリットが多い。今後のゴールベース・アプローチの普及に注目だ。

(提供:株式会社ZUU)

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