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2017年7月4日

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外貨預金をする際に気にしたい IMM通貨先物ポジションとは

IMM通貨先物ポジション
(写真=panuwat phimpha/Shutterstock.com)

日本は大規模な金融緩和に加えマイナス金利の導入で、超低金利が続いている。銀行に円預金をしても、利子を貯められる時代ではなくなった。

そこで、資産の運用先として有効なのが外貨預金だ。日本よりも金利が高い国は多く、利子所得に加え、今後価値が高まる通貨を良いタイミングで購入できれば為替差益 (売却益) も得られる。しかし、投資先の通貨の価値が下がってしまうと為替差損が発生してしまうため、投資タイミングの見極めが重要だ。

ここでは、よいタイミングで外貨預金をするために知っておきたい指標のひとつである「IMM通貨先物ポジション」を紹介する。

IMM通貨先物ポジションとは

IMM通貨先物ポジションとは、アメリカにある先物取引所CMEの通貨先物ポジション (買い建て・売り建ての持高状況) のことだ。CMEの中にある国際通貨市場がIMM (International Monetary Market) という通称のため、このように呼ばれている。

CFTC (全米先物取引委員会) は、各取引所に先物のポジションの公開を義務付けている。各取引所は毎週火曜日の取引終了時点でのポジションを報告し、CFTCはその週の金曜日にその報告を公開している。

IMM通貨先物ポジションでは、ドルに対する各通貨のポジションが分かる。基本的に、持高が積み上がっている方向と為替レートには相関関係がある。為替の大きな方向性、特に投機筋の動向をチェックするのに向いている。

その一方、先物であるため、ポジションはいずれ解消される。例えば円買い (ロング) が円売り (ショート) と比較して過大になっている場合、ロングのポジションが手仕舞われるタイミングでは反対売買が行われ、ドル円レートには円安ドル高圧力が働くことが予想される。

注意点としては、火曜日時点のポジションを金曜日に発表するため、発表されるポジションにはタイムラグがあることが挙げられる。また、大口のヘッジファンドは、手口が公開されることを嫌って、通貨先物を利用しないともいわれており、必ずしも投機筋の動向を正確に反映されているわけではないことにも注意が必要だ。

実需と投機の違い

為替取引には大きく分けて「実需」と「投機」の2種類がある。

為替市場で取引をするのは投機筋だけではない。海外展開をしている日本企業は海外の売り上げを現地の通貨から円に換えるために為替取引をしている。逆に日本で事業を展開する海外企業は、日本での売上を円から自国の通貨に換えるために為替取引をしている。このような取引が実需だ。

それに対して、安い通貨を買い、高くなったら売却するなどで為替利益を狙うのが投機だ。投機を行うプレイヤーとしてヘッジファンド、証券会社、銀行、FXを行う個人投資家などがいる。投機は短期的な売買でポジションを手仕舞うことが一般的だ。

順張りと逆張り

売買判断の手法である「順張り」と「逆張り」についても理解しておきたい。

順張りはトレンドについていく手法だ。例えば円ドルで取引をするとして、1ドルが100円から95円となる円高ドル安トレンドの場合、更なる円高ドル安になることを予想し、円を買う (外貨を売る) 。ただし、外貨預金では基本的に自国通貨である円買いはできないので注意が必要だ。

一方で、逆張りはトレンドに逆行する手法だ。ドル円レートが円高ドル安トレンドの際に、将来、円安ドル高へトレンドが反転することを予想し、円を売る (外貨を買う) 。

どちらが正解ということはなく、マーケット状況によって使い分けたい。その際に参考となるのがIMM通貨先物ポジションというわけだ。例えば、「ロング (もしくはショート) ポジションがピークアウトした際は、トレンドの反転が近いと判断し、逆張りを行う」、「持高がロング超過からショート超過に転じた際は、トレンドが加速すると判断し、順張りを行う」などだ。

トレンドを把握して売買判断を

大切なことは、順張りにしても逆張りにしても、「現在為替レートはどのようなトレンドにあるのか」「自分の売買はトレンドに乗っているのか、あえて逆流しているのか」を理解することだ。

日銀の低金利政策は今後も続くことが予想され、円預金だけでは運用成果を望むのが難しい。IMM通貨先物ポジションを活用して、上手に外貨で運用して頂きたい。

(提供:株式会社ZUU)

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