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2016年10月25日

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有事の「金」買い ? リスクオフ時の金市場の動向

金市場
(写真=PIXTA)

英国のEU離脱を問う国民投票実施の結果、離脱を支持した割合が51.9%、残留支持が48.1%となり、離脱へと舵をきったことは記憶に新しいだろう。

この英国のEU離脱問題は日本の株式市場にも大きな影響を与えたほか、様々な金融商品にも影響を与えることになった。特に、金 (ゴールド) に関してはイギリスのEU離脱による世界情勢不安定化をもとに価格が上昇した。なお、金価格は中国経済鈍化などによる世界経済や金融への不安心理がそれ以前から高まっていたこともあり、2016年、年初から上昇している。

このように、金は不安の高まるリスクオフ時には買われる傾向にある。海外メディアの報道によれば、著名投資家であるジョージ・ソロス氏の投資ファンドが2016年に入ってからカナダにある世界最大の産金会社の株式を大量取得、また金自体も購入していたことが判明している。これはまさにソロスが世界経済不安を見通していたといえ、プロも金に注目する時代なのだ。

なぜ金が買われるのか ? 代表的な4つの理由

それではなぜリスクオフ時に金が買われるのであろうか。また金の魅力は一体何なのだろうか。ここでは代表的な理由を紹介しよう。

1.リスクオフ時の逃避先
まず、金は昔から有事に強く、安全資産といわれている。万が一の場合には持ち運びも可能だ。リスクオフ時には資産の逃避先も限られるため、金に注目が集まりやすいといえる。

2.価値がゼロにならない
次に、金は価値を失うことがない点を挙げることができる。世界中でその価値が認められているため、株式や債券とは異なり無価値となったことがない。しかも埋蔵量は限りあるものである。そのため希少価値が高く、リスクオフ時には皆が注目するのだ。また、世界の人口増加に伴い、金需要が増す側面もある。こうした点も長期的に見れば金価格に反映される可能性がある。

3.インフレに対応できる資産
インフレになる局面でも金価格は上昇する傾向にある点は金の魅力ともいえる。株式や不動産もインフレに強い資産といわれるが、世界経済が不安定な場面では株安・不動産価格下落が起こりうるため、代替資産としても金は強みを発揮する。

4.換金性 (流動性) が高い
このほか、金は代替通貨としても機能する。そして換金性が高い点も挙げておこう。金は世界中で愛され、人々を魅了していることから、日々公正な価格がマーケットで決定されている。そのため、売買はしやすく、世界中どこでも換金が可能な資産といえる。

過去の金価格の推移を見てみる

こうした特徴を持つ金が、世界情勢不安から価格が上昇するといった状況は何も今回に始まったことではない。振り返ってみれば、2008年のリーマン・ショック以降、欧州債務危機など世界経済情勢を不安定化させる内容は金価格を上昇させる要因となった。特にリーマン・ショック後の金価格上昇には著しいものがある。

なぜならば、1993年3月には1トロイオンス=326ドルで購入できた金は、生産コストが上昇したこともあり、2010年には1トロイオンス=1000ドル台へ突入。その後1800ドル台に向け上昇の一途をたどることになる。このように、金は有事には買いといった側面を見ることができ、今後も危機時には金が力を発揮する可能性は大いにあることだろう。

相場の動きをとらえる

以上、有事の金買いの理由をご理解いただけただろうか。世界各国で金は投資でも実需でも人々を魅了している。金価格の動きにはパターンがあり、世界情勢が不安定な状況なのかどうか、インフレなのかデフレなのか、米国の利上げはいつから再開するのか (金は利息がつかないため、利上げは金価格にはマイナスとなるおそれあり) 、こうした動きが金価格を左右する側面がある。

今後の金価格動向を読む上でこういった情報は欠かせないことになる。日々の情報チェックをマメにおこなうことで、相場の動きを捉えられるようになれるだろう。

(提供:株式会社ZUU)

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