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2016年10月12日

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10月から変わるパートの働き方「106万円の壁」で気をつけるべきことは ?

106万円の壁
(写真=PIXTA)

パートの方で、「103万円の壁」、「130万円の壁」という言葉を耳にしたことがある方は多いのではないだろうか。その「130万円の壁」が、2016年10月から「106万円の壁」に変わる。これによって、今後のパートの働き方も考えなければならないかもしれない。どのような影響があるのかみていこう。

「103万円の壁」、「130万円の壁」とは ?

一言で言うと「103万円の壁」は、所得税が発生するか否かの境界線、「130万円の壁」は社会保険料が発生するか否かの境界線だ。

所得税では、無条件に全員が控除される基礎控除が38万円、給与所得者に認められる給与所得控除の最低額が65万円となっている。つまり、給与所得者は、「38万円+65万円=103万円」までは所得税が発生しない。したがって、パートで年間所得を103万円までにおさえれば税金は発生しないのである。これが「103万円の壁」だ。

次に社会保険料であるが、健康保険の被保険者の被扶養者は保険料を負担せずに保険給付を受けることができる。また、サラリーマンの配偶者は一定の条件を満たすと国民年金の第3号被保険者として保険料の負担をせずに国民年金に加入できる。この一定の条件や扶養の要件として「年間収入が130万円未満」というのがある。つまり、基本的に年間収入を130万円未満に抑えれば、社会保険料の納付は求められない。これが「130万円の壁」だ。

2016年10月から「106万円の壁」へ

2016年10月から社会保険における扶養の基準が変更され、「130万円の壁」が「106万円の壁」になる。ただ、変更されるのは、①週20時間以上労働、②月収8万8,000円以上、③勤務期間1年以上、④501人以上の従業員がいる企業に勤めているなど、大企業に勤務している人が対象になる。正確には、月収88,000円×12カ月=105万6,000円であるが、大まかに言って「106万円の壁」と言われている。

今回の改正は、「少子高齢化によって人手不足が顕著になる中、扶養基準を引下げることで労働力の抑制を緩和し、経済の安定を図る。」、「併せて社会保険料を徴収することでし、税収を増やす。」といった政府の狙いにより行われる。

壁を超えた場合の影響

これらの壁を越えるとどのような影響があるのだろうか。配偶者控除で考えると、まず、「103万円の壁」については、たとえば、10万円超えてしまった場合、課税されるのは、「10万円×5%=5,000円」にすぎない。ただ、103万円を超えると税法上の配偶者控除の対象からはずれるため、これまで配偶者控除を受けていた人の所得税の負担が増加する。税率が20%の人の場合、配偶者控除額が38万円なので、「38万円×20%=76,000円」負担が増える。

それに対して、「130万円の壁」あるいは「106万円の壁」はさらに影響が大きい。なぜなら、国民健康保険料や社会保険料を自己負担することになるためだ。その場合の負担額は、おおよそで10~30万円程度と想定される。世帯の実質収入の減少を防ぐために、160万円以上の収入を得る働き方も視野に入れると良いだろう。また、会社によっては扶養者がいる場合「扶養者手当」が支給されるところもあるので、社会保険の扶養からはずれることによって扶養者手当分が減少することもある。

メリット・デメリットを踏まえた上での選択を

このように、壁を越えてしまうと一定の負担が生じることになるが、デメリットばかりではない。社会保険料の半額は企業が負担してくれるし、傷病により働けない場合に「傷病手当金」が支給される。そのほか、厚生年金をおさめる第2号被保険者となると、国民年金に加えて厚生年金を受給することができる。目先の実収入は減ることになるが、将来少しのゆとりができることを考えると印象もまた変わるだろう。以上のメリット、デメリットを踏まえ、自分の将来設計に合うのはどちらなのか、十分に検討することをおすすめする。

(提供:株式会社ZUU)

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