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2016年9月27日

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注目の「確定拠出年金」はどれくらい税効果があるのか ?

確定拠出年金
(写真=PIXTA)

確定拠出年金法が2016年5月24日に改正され、2017年1月から公務員を含めたほぼすべての人が確定拠出年金 (DC) に加入することができるようになる。これを受けて確定拠出年金の関心が高まっている。確定拠出年金とはどのような制度なのか、また、どれくらい税制メリットがあるのかについて見ていきたい。

確定拠出年金とは ?

確定拠出年金とは、加入者が一定の掛け金を支払い、自ら運用方法を決定するという年金である。自ら運用を行うため、運用方法によって受け取る年金額が変わってくる。つまり「自己責任」で運用する年金というわけである。

確定拠出年金には、「企業型年金」と「個人型年金」の2種類がある。企業型年金は、確定拠出年金制度を採用している企業に勤めているサラリーマンが対象である。個人型年金は、自営業者や確定拠出根金等の企業年金を採用していない企業に勤務しているサラリーマンが対象である。

個人が拠出できる掛け金は条件によって月額に制限があり、次の4種類に分類される。 ①企業型年金で確定給付型年金がある場合が2万7,500円 (月額) まで、②企業型年金で確定給付型年金がない場合が5万5,000円 (同) まで、③個人型年金で自営業者等が6万8,000円 (同) まで、④個人型でその他が2万3,000円 (同) までとなっている。

これまで個人型年金は、自営業者や企業年金がない会社の社員だけが対象だったが、今回の改正によって「主婦」や「公務員」も加わることになる。また、すでに企業年金に入っている会社員も、個人型年金を併用して使えるようになる。

確定拠出年金の優れている点は ?

確定拠出年金の優れている点は、運用を自分で行えるので運用次第で老後の資産を増やすことができるということと、税制メリットが期待できるということである。

運用については、さまざまな金融商品の中から好きなものを選べ、運用結果も常に確認することができる。ただ、通常の資産運用と違い、原則60歳まではお金を引き出せないので、その点は注意が必要だ。

確定拠出年金は、次の3つの局面で税制メリットを得ることができる。まず、①掛け金が全額所得控除の対象になるということである。つまり、年間に受け取る所得から確定拠出年金に支払った掛け金全額を控除することができるのだ。また、②運用益が非課税となり、③受け取り時点でも退職所得控除または公的年金等控除という形で税軽減効果を享受することができる。

具体的計算例

一例として、課税所得500万円、勤務先に独自の年金制度が無い (個人型確定拠出年金) 、掛け金が月額上限の2万3,000円という条件で、どれくらいの税効果があるのか前項で確認した3つのメリットに沿って見ていこう。

1年間の掛け金総額は、「2万3,000円 × 12か月 = 27万6,000円」となる。

まず、①掛け金が全額所得控除の対象となるメリットについて。確定拠出年金では、支払った掛金の総額が所得控除の対象となり、掛け金に応じて所得税・住民税が軽減される。今回のケースでいえば、掛け金総額の「27万6,000円」が全額所得控除となる。そして、課税所得が500万円の場合、所得税は20% (※) 、住民税は一律10%となるため、税の軽減効果は下記のように計算して求めることができる。

所得税:掛け金27万6,000円 × 20% = 5万5,200円
住民税:掛け金27万6,000円 × 10% = 2万7,600円
合 計:8万2,800円

30年間掛けた場合、「8万2,800円 × 30年 = 248万4,000円」の税効果となる。
(※所得税率は課税所得に応じて変わるため、国税庁のHP等で調べていただきたい。国税庁:https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2260.htm)

次に、②運用益が非課税となるメリットについて。積立総額は「2万3,000円 × 12か月 × 30年 = 828万円」となり、仮に年利3.0%の複利運用を想定した場合、利息込みで約1,340万円にもなる。差額「1,340万円 - 828万円 = 512万円」が非課税となる。いかに効率よくお金が貯められるかがわかるだろう。

最後に、③受け取り時点での税軽減メリットについて。ここでは、一時金として受け取った場合について見ていこう。一時金として受け取る場合、退職所得控除の税制優遇を利用することができる。

退職所得控除額を求める計算式は以下のようになる。
勤続年数20年以下:40万円 × 勤続年数 (最低保証80万円あり)
勤続年数20年超 :800万円 + 70万円 × (勤続年数 - 20年)

勤続年数が30年の場合、退職所得控除は「800万円 + 70万円 × (30年 - 20年) = 1,500万円」までは非課税になるので、前述の積立運用額 (1,340万円) の場合、受け取り時点でも非課税ということになる。

このように確定拠出年金は、自分で運用商品を選ぶため投資に慣れていない人からすると難しく感じるかもしれないが、税制メリットによる効果は大きい。2017年1月から対象になる公務員や主婦はもちろん、まだ始めていない方も、将来の老後資産に差がつく可能性があることを理解した上で資産形成・運用の選択肢に入れてみてはいかがだろうか。

(提供:株式会社ZUU)

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