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2016年5月24日

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「タワーマンション節税」取り締まり注意報、発令 !

タワーマンション
(写真=PIXTA)

節税対策として、タワーマンションを活用した方法が一時期流行したことをご存じだろうか。タワーマンションの購入によって相続税評価額を下げ、相続税を節約するというものだ。

一般に不動産を相続した場合、相続税の対象となる価額は時価ではなく相続税評価額で算出される。この相続税評価額は時価よりも低く算出されるため、現金で相続するよりも相続税の節税につながるわけである。

相続税評価額は土地と建物を個別に評価したうえで合算する。まず、土地についてはマンション全体の敷地を部屋数 (戸数) で分けるため、特にタワーマンションの場合、高層になるほど部屋数が増えることから、それぞれの土地持分が小さくなる。一方、建物を評価する際に適用される固定資産税評価額は床面積を基準にするため、同じ床面積であれば階数が変わっても評価額は変わらない。つまり、人気の高層階ほど時価と評価額の開きが大きくなるのである。

これらが、相続税に敏感な富裕層などをメインとして、時価の高い高層階を中心にタワーマンションが購入されてきた経緯である。

タワーマンションの利点は節税以外にも

タワーマンションの活用は相続税の節税だけではなく、相続後の資産としても注目されている。

たとえば、駅前など地域のシンボルともなるタワーマンションであれば、中古物件であっても多数の購入希望者がいるため、需要は多いといえるだろう。また、中古物件は新築物件に比べ価格が手ごろなケースもあり、場合によっては将来の価格が上がることもあるため、タワーマンションは中古市場では人気物件と言っていい。

加えて投資という面から見ても利回りは他の物件に比べて安定的、空室リスクも一般物件に比べると低く、富裕層を中心に人気があるのは事実である。中には複数のタワーマンションを購入し、相続時に各相続人に配分できるように対策を行っているケースもあるようだ。

このように現金で保有するよりも不動産、特にタワーマンションによる節税効果は大きいことから、多くの富裕層が購入してきたのは事実だが、こうした節税対策にとうとう「待った」がかかる可能性が出てきたのである。

タワーマンションによる節税対策、国税庁が監視強化

各種報道によれば、タワーマンションを利用した節税対策に対して、国税庁が監視強化を行っているとのことだ。

なぜ、タワーマンション節税に対して規制がかかることが予想されるのか。

理由は、タワーマンションによる節税は誰もができるわけではなく、言うなれば富裕層しかできない節税方法であり、税負担の公平性という観点から望ましくないためだ。こうした経緯から、今後は行き過ぎた節税行為に対しては、相続税が追徴課税されることが現実味を帯びてきたのである。

今後はタワーマンションの節税対策は検討しない方が無難 ?

こうしてタワーマンションによる節税対策に対して、課税強化の動きが本格化するものと思われる。そのため、純粋に相続税の節税だけを目的としたタワーマンションの購入には慎重にならざるを得ないだろう。

たとえば、相続開始の直前にタワーマンションを購入し、直後に売却するなどの明らかなケースは、悪質な租税回避行為として課税強化の対象になる可能性は高いだろう。今後は、中古市場での換金性の高さや、低い空室率リスクを反映した投資利回りの安定性、シンボル的タワーマンションであれば物件を所有すること自体の満足度など、節税以外の価値を総合的に判断して購入することが必要になってくると思われる。

また、不動産投資の基本であるが、事前の準備をしっかりと行い、信頼できる専門家 (税理士など) を選ぶなど、一時的な節税額の多寡にとらわれずに計画的な投資を行うべきであろう。

(提供:株式会社ZUU)

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